『鬼滅の刃』石田彰、猗窩座/狛治として辿り着いた境地【ネタバレあり】

『劇場版「鬼滅の刃」無限城編 第一章 猗窩座再来』(全国公開中)で十二鬼月・上弦の参、猗窩座(あかざ)を演じる声優の石田彰。同作では、猗窩座の過去も描かれており、鬼になる前の姿=狛治(はくじ)の声も担当している。『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』(2020)から猗窩座を演じてきた石田がインタビューに応じ、狛治との演じ分け、『無限城編』でたどり着いた猗窩座/狛治としての境地について語った。(以下、映画のネタバレを含みます)
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本作は、鬼の本拠地「無限城」を舞台に、主人公・竈門炭治郎をはじめとする鬼殺隊と鬼の決戦を描く劇場版三部作の第一弾。石田演じる猗窩座は、炭治郎の宿敵・鬼舞辻無惨の直属の配下である「十二鬼月」の中でも“上弦の参”の数字を与えられた鬼で、『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』で初登場し、炎柱・煉獄杏寿郎と死闘を繰り広げた。
猗窩座を演じる身としての緊張感
サブタイトル『猗窩座再来』の通り、猗窩座は本作の重要キャラクターの一キャラとしてスクリーンに帰ってきた。石田は「猗窩座の大きなエピソードを、劇場版で描いていただけることは、役を担当している者としてすごく嬉しく思います」と喜ぶ一方で、「緊張感はすごくありました」とも打ち明ける。
猗窩座は、至高の領域を目指し、強者との戦闘を好んでいる。石田は演じるにあたり、「猗窩座はめっぽう強いキャラクターとして描かれているので、その強さを説得力を持って表現しなければいけない。そこは外してはいけないところだという意識を持っていました」と強者の風格を漂わせることを意識していたと語る。
「猗窩座としての取り組み方に変化はありませんが、今回は狛治の部分が描かれることで、猗窩座に対する観客の意識の持ちようだったり、認識がより深まる構成になっていると思うので、狛治として、シーン毎にきちんと対応することで猗窩座との落差が生まれるよう、そこはしっかり意識しようと思いました」
猗窩座のフィルターを通して見る炭治郎&義勇
本作では、無限城に落ちた炭治郎と水柱・冨岡義勇の前に、猗窩座が立ちはだかる。2度目の劇場版ということもあり、石田は「猗窩座の強さに対して、僕の方で理解が及んでいるところもあるので、2対1という組み合わせでも、より猗窩座の強さが際立つみたいなところが表現できました」とバトルシーンに手応えを感じている様子を見せた。
炭治郎は『無限列車編』の頃よりも格段に強くなり、猗窩座も戦いの中でその強さを実感していく。「猗窩座の中で、炭治郎の評価が変化していく流れがとても面白い。炭治郎が成長する場所に、強さを求める猗窩座が居合わせられることはとても幸運なことです」と石田は語り、その変化を声で表現する花江夏樹についても「何事も強い気持ちを持って克服しようとする炭治郎の強さを、説得力を持って表現している。気持ち的な負担はかかるはずですし、炭治郎を長年演じ続けているところはすごいと思います」と評価する。
また、本作で初めて相対する義勇については「とっても強い人であり、自分に対しても公平にジャッジができる人」と表現する。
「義勇さんは冷静なキャラクターだからこそ、自分にもジャッジを下していってしまう。そこが正直なところ。それに輪をかけて、本当に馬鹿正直な炭治郎もいますが、彼とも違います。自分を鼓舞してごまかすこともできないくらいにドライで、自分に対しても厳しいのが、義勇さんなのだと思います」
ついに明かされる猗窩座の過去
本作では、猗窩座の人間時代=狛治の物語が描かれる。狛治は、道場を営む慶蔵とその娘・恋雪との出会いを経て、人生が大きく変化していく。
『無限城編』で初めて明かされた猗窩座の過去。石田は、猗窩座のかつての姿である狛治をどのように捉えているのか。
「狛治の人生があり、最終的に鬼になる運命ですが、生きている間に師範と出会い様々な経験もできた。すごく深みのある人生を送ったのではないかと思います」
猗窩座/狛治の人生を見届けた石田は、「完成した映像を拝見して、とてもうまい構成だと納得しました」と回顧。「猗窩座の軌跡を描くことこそ、『鬼滅の刃』という物語の中における彼のドラマなのだと思いました」と力強く語っていた。(取材・文:編集部・倉本拓弥)
※鬼舞辻無惨の「辻」は点一つのしんにょうが正しい表記


