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『緊急取調室』なぜ映画で完結なのか プロデューサーが語る“ファイナル”の意味

ついにフィナーレ!画像は『劇場版「緊急取調室 THE FINAL」』より
ついにフィナーレ!画像は『劇場版「緊急取調室 THE FINAL」』より - (C) 2025 劇場版「緊急取調室 THE FINAL」製作委員会

 天海祐希主演の連続ドラマ「緊急取調室」が、第5シーズンの放送を終え、『劇場版「緊急取調室 THE FINAL」』(12月26日全国公開)で12年の長い歴史に終止符を打つ。プロデューサーとして企画を立ち上げ、現在はエグゼクティブプロデューサーとして作品作りにまい進してきた三輪祐見子(テレビ朝日)が、シリーズ完結への思いを語った。

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 連続ドラマ「緊急取調室」は2014年に産声を上げた。三輪プロデューサーは、企画立ち上げの経緯を振り返りながら、なぜこのタイミングで完結を決断したのか、以下のように説明した。

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 「当時はまだ、警察において取調べの可視化が検討されている段階でした。ですから、可視化に特化した特別取調室での取調べという形の刑事ドラマを立ち上げたんです。ですが、2016年に刑事訴訟法等が改正、2019年に全面施行され、現実でも可視化が制度化しました。ちょうど第3シーズンあたりです。現実がドラマを追い越したということですね」

 「その後、密室で対峙することが推奨されないコロナ禍を経て、改めて人と人が直接会話する大切さを感じた2021年に、第4シーズンを作りました。そのあたりで、企画として成すべきことは成した、熟成して役割を終えたと思い、映画でファイナルにしようと、主演の天海祐希さんはじめ関係各所にご相談して決めました」

(C) 2025 劇場版「緊急取調室 THE FINAL」製作委員会

 「緊急取調室」が誕生したもう一つのきっかけは、座長の天海だ。「いつかご一緒したかった」という三輪プロデューサーだが、天海にはこれまで刑事ドラマなどで若手を引っ張るリーダー格の役が多くある。「それらとは立ち位置を変えて、あえて年配の方の中に一番の若輩者として入っていただくのはどうかと思い、“ベテランぞろいの取り調べチーム”を作ろうと思いました。天海さんもこの座組を気に入ってくださいました」

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 最後を映画にしたのは「テレビの画面だけじゃなく、映画館の大きなスクリーンで見てほしい。チームワークも含めた、今あるベストの形のものを、作品として残したいと思ったんです」と熱い思いを吐露する三輪プロデューサー。諸般の事情で一度は公開延期になったものの「今回、やっと年末に公開できることが決まりました。それならさらに盛り上げるためにも『ドラマの第5シーズンもやりましょう!』と、天海さんはじめみなさんが再結集してくださったんです」とドラマ&劇場版でフィナーレを迎えることができた経緯を明かした。

 劇場版は、超大型台風が連続する非常事態の中、総理大臣襲撃事件が発生するところから始まる。暴漢は総理との面会を要求し、さらに総理自身にも疑惑が浮上。キントリチームは総理の取り調べをするべく動き出す。「一番難しい取り調べは誰だろう、というところが発想のスタートでした。日本だとやっぱり総理大臣だろう、だったら映画の敵はそこだ、と。ただ、鉄壁の守りがあって、普通では無理なんです。それをかいくぐるのが大変でした」と脚本作りの苦労を語る。「劇中でも、有希子たちがいろいろな壁に阻まれたり考えたりしますが、まさにそれと一緒でした。その辺りは、新しいことにチャレンジしているという意味でも、見ごたえがあるんじゃないかと思います」

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(C) 2025 劇場版「緊急取調室 THE FINAL」製作委員会

 内閣総理大臣・長内洋次郎を演じるのは石丸幹二。「好感度の高い総理大臣にしたかったので、舞台の上での圧倒的存在感や、芝居の品の良さやご本人の佇まいを含めて、石丸さんしかいないと思いました。状況を考えるとなかなか難しいオファーだったと思うのですが、驚いたことにすぐにご快諾くださった。スタッフもキャストも感謝しかありません」と三輪プロデューサーは心からの謝意を表した。

 「物を作る仲間として、人として、『お力になりましょう。僕で良ければ』という感じでした。懐の大きさを非常に感じました。しかも、あれだけの実績がある方なのに、とても穏やかで優しい方で、まさに好感度の塊。第5シーズンにも少し登場していただきましたが、颯爽と演じてくださいました」

 総理を襲撃する暴漢・森下弘道役の佐々木蔵之介は、「総理とまったく違う人生を歩んできたという説得力を含めて、とても難しい役だと思いますが、お芝居の安心感がオファーの決定打でした」と明かした。テレビシリーズのゲストもそうだが、取調室で天海らキントリチームと対峙するには、相当の芝居力が必要とされる。「常に『この人だったら』という信頼を元にオファーさせていただいています。蔵之介さんは天海さんとも何度もご一緒されていますし、きっと素敵に演じてくださるだろうと思ってお願いしました」

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(C) 2025 劇場版「緊急取調室 THE FINAL」製作委員会

 さらに、キントリの生みの親であり、現在は服役している郷原政直役の草刈正雄や、有希子の娘・奈央役の杉咲花など、懐かしい顔も登場。「みなさん、ご快諾くださいました。杉咲さんなんて最初は高校生だったのに、あれよあれよという間に大スターになられていて。今回の物語のキーにもなる救急救命士をすごくいい形でやってくださって、ありがたかったです」と三輪プロデューサー。「これで最後ということで、みなさんに出ていただいて完結させたいという思いでした」

 「緊急取調室」は今、三輪プロデューサーにとってどんな存在なのか。「こんなに長く続くとは思ってなかったということも含め、唯一無二の作品になりました」と感慨深げ。「作品作りは基本的に楽しくて嬉しいことばかりだから長い間続けてこられましたが、こんなに辛いこと、悔しいことが途中にあった作品はない。そういう意味でも大事な作品になりました。とにかく成長させてもらった12年間でした」と述懐する。「わたし1人では乗り越えられなかった。天海さんのポジティブさがみんなを引っ張ってきたと思っています。みなさまにもたくさんご迷惑とご心配をおかけしましたが、やっと観ていただけるところまで到達しました。関わってくださったすべての方に心から感謝しています」

 三輪プロデューサーが一番印象に残っているのは、映画の最後のシーンの天海だ。「事件解決の爽快感と充実感そして一抹の寂しさなどまさに万感の思いがこもった表情で、何度見ても素晴らしいと思っています。ぜひ劇場で、最後まで席を立たずに観て行ってください」。こちらもまた、万感の思いがこもった言葉だった。(取材・文:早川あゆみ)

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