「ばけばけ」吉沢亮、最後は笑顔でお別れ 制作統括が明かすクランクアップ秘話

13日放送の連続テレビ小説「ばけばけ」(NHK総合・月~土、午前8時~ほか ※土曜は1週間の振り返り)の第23週・第115回では、長らくヘブン(トミー・バストウ)に寄り添い、熱い信頼関係を築いてきた錦織友一(吉沢亮)の物語に区切りが打たれた。制作統括の橋爪國臣が、錦織とヘブンの本当の別れ、錦織を演じてきた吉沢のクランクアップ時の様子について語った。
連続テレビ小説の第113作「ばけばけ」は、松江の没落士族の娘・小泉セツとラフカディオ・ハーン(小泉八雲)をモデルに、西洋化で急速に時代が移り変わっていく明治日本の中で埋もれていった人々をフィクションとして描く。「怪談」を愛し、外国人の夫と共に、何気ない日常の日々を歩んでいく夫婦の物語。
橋爪曰く、ヘブンと錦織の別れは「史実上でもこのタイミングだった」という。「それをどう描くかは、脚本を作り始めたころから何度も議論を重ねてきました。最初は二人の本当の関係性がどうだったかの議論から始めました。錦織はただヘブンに尽くしていたのか、そうではなかったのか。友達以上の関係だったと思うが、果たしてそれは何だったのか」と錦織像を作り上げていった過程を振り返る。
モデルとなった西田千太郎を調べつつ、橋爪は「うまくいかないことも多かったですが、聖人君子のように振る舞い、実際に、何をやりたかった人なんだろうという疑問が常にありました。西田千太郎は優秀な人で、才能があり、それを持って日本の中心に行きたかったのか、島根の教育をなんとかしたかったのか……」と調べれば調べるほど、錦織の人間像が広がっていった。
続けて橋爪は、第115回で描かれたヘブンと錦織の衝突シーンを回顧する。橋の上での二人のぶつかり合いは、錦織像を作っていく中で生まれたドラマオリジナルのシーンだった。「彼個人としては、きっとヘブンの文学的な才能に惚れ込んだんだと思うんです。魂を込めて接することができる相手を見つけ、その相棒になり、素晴らしい文章を一緒に残していきたいという思いがあった。自分が生きていく意味を見出したが、それがうまくいかなくなって、彼はヘブンにもトキにも怒っていた。それでも何かしようとしている。それをここで描きたいと思いました」
また、西田千太郎は小泉八雲が松江を去る時に見送りに来なかったという史実についても言及し、制作サイドの想いを語る。
「西田千太郎は(八雲のことを)見送りに行こうと思えば行けたのに、そうしなかった。その後、熊本時代になっても、手紙のやりとりはずっとしているんです。実はこの時期、彼は熊本にも訪れています。でも、なぜか八雲には会いに行っていない。それはたまたまだったのか、避けていたのか。そこに裏があれば、こういうことだったのかなと。松江を訪れた八雲が東京に戻る時も、船で行ったので、松江橋に腰掛けて静かに見送っていたという記録が残っています。そこにヒントがあるのではと想像を膨らませ、錦織のその後を作り上げていきました。『ばけばけ』はドラマなので、いろんな解釈がある中で、こういう解釈もあり得るのかなと思いました」
錦織を演じ切った吉沢についても「役に入り込む方だなと思いました。あのシーン(衝突のシーン)で言うと、本当に死にゆく人の気持ちが伝わってくる」と太鼓判。クランクアップはロケだったそうで、「橋の上でのシーンが最後だったんです。とても気合いが入っていて、いい芝居をしていました」と当時の様子を振り返った。
「時間をかけて撮りましたが、終わったら、雑炊の話で盛り上がっていました。激しい減量の末の撮影で、本当に苦しそうでしたが『食べまーす』って(笑)。こちらからは『ありがとう』という話をしました」と撮影後のほのぼのエピソードも明かした橋爪。「吉沢さんとは『終わっちゃったね~』という感じで、明るく終わりました。主演映画『国宝』が記録的なヒットになっていたので、その話をしたりもしました。次はミュージカルに出ると聞いて、『これだけ激やせして、英語も話して、まだまだ大変だね』と。最後は『お疲れ様でした~』とあいさつしていました」と吉沢との最終日を振り返っていた。(取材・文:名鹿祥史)


