『ラスト・サバイバー』ヒッグ&シーマの掛け合いはアドリブ多数 キャストが目指した“お決まりパターン”からの脱却【インタビュー】

『エイリアン』『ブレードランナー』『グラディエーター』などで知られる巨匠リドリー・スコット監督の最新作『ラスト・サバイバー』で主演を務めたジェイコブ・エロルディと、共演のマーガレット・クアリーがリモートインタビューに応じ、終末世界を舞台にした本作のテーマ、次世代を担う二人がアドリブを披露したという撮影の裏側を語った。(取材・文:編集部・倉本拓弥)
【動画】巨匠リドリー・スコットが描く終末世界!『ラスト・サバイバー』予告編
映画の舞台は、謎のパンデミックで人類のほとんどが死滅し、人間性を失った者たちが奪い合い殺し合う荒廃した世界。元パイロットのヒッグ(ジェイコブ)は、元軍人のバングリー(ジョシュ・ブローリン)、愛犬ジャスパーと共に終末世界を生き延びていた。ある日、ヒッグの小型機の無線に“謎の声”が届く。ヒッグは、途中で出会う生存者の女性・シーマ(マーガレット)らと共に、失われた日常を求め、未知の空へと飛び立つ。
“希望に満ちた”終末世界
Q:「ウォーキング・デッド」「THE LAST OF US」といった終末世界を描く作品が相次いでヒットする中、リドリー・スコット監督は同ジャンルの歴史に新たな1ページを刻みました。これまでのポスト・アポカリプス作品と比べて『ラスト・サバイバー』は何が異なり、物語をこれほどユニークにしている要素は何だと思いますか?
ジェイコブ・エロルディ(以降、ジェイコブ):リドリーのフィルモグラフィーの中でも、かなり希望に満ちた作品になっていると思います。まず、ゾンビが走り回ったりしないですから(笑)。世界が崩壊した後ではありますが、自然は残ったまま、太陽が照りつけ、空はこれまでにないほど青く、川は澄んでいて木々も緑豊か……そういう世界が描かれているんです。映画全体を通して、希望と美しさという一貫したテーマがあると感じます。同じジャンルを扱った作品は、どれもペシミスティック(悲観的)になりがちで、空は雲が立っていて、瓦礫だらけ、それにゾンビも出てきますから。
マーガレット・クアリー(以降、マーガレット):今作で描かれる終末世界は、どこか希望に満ちています。自分の心の中にある人間性、何かに挑戦し続けるという考えに立ち返らせてくれるような、とても胸を打つ作品になっていると思います。
Q:ヒッグと愛犬ジャスパーのコンビにも注目です。最近では、サバイバル映画に犬が登場すると「犬は無事に生き残れるのか」と心配する観客が多く、犬と共演したアン・ハサウェイが「犬が死ぬ映画はR指定にするべきだ」と発言したことがニュースになりました。お二人は、彼女の考えについてどう思われますか?
ジェイコブ:確かに、犬が死んでしまう映画はR指定にするべきです。一番辛いからね。
マーガレット:『アイ・アム・レジェンド』(※ウィル・スミス主演のSFサバイバル映画)なんかはまさにそうよね。
ジェイコブ:昔、あの映画を観て泣いてしまったよ。すごく美しいけど、立ち直れないくらい打ちのめされた。だから、犬が死んでしまうのは間違いなくR指定だよ。
キャストも衝撃的だったシーン
Q:『ラスト・サバイバー』には、ビジュアル面で強烈かつトラウマになりそうなシーンが登場します。お二人は、非常に緊迫したシーンの撮影をどのように乗り切ったのでしょうか?
ジェイコブ:あれは本当に奇妙な体験でした。映画の脚本は、撮影直前まで書き直しや修正が行われていたんです。だから、自分たちがどんな場所に足を踏み入れるのか、直前まで分かっていなかった。撮影現場に着いて覚えているのは、とにかく走ったことくらいです(笑)。
リドリーはカメラを何台も使ってものすごく素早く撮影するので、セットに着いた瞬間からアクションが始まったんです。走りながら通り抜けたセットの中には、事前に一度も目にしていない場所もありました。あなた(筆者)が言及したトラウマシーンで登場する冷凍室にいた時は、「これって人間の身体なのか……?」と驚きました。映画の中でも特に不気味で、演じていた僕たちにとっても衝撃的でした。物陰から急に飛び出してくるエキストラもいましたし。セット全体に不穏な空気が漂っていました。それがスクリーンを通してみなさんに伝わると嬉しいです。
マーガレット:私は、爆発シーンで防音用に渡された耳栓が耳に詰まってしまったんです。
ジェイコブ:耳の奥に詰まって、取れなくなっちゃったんだよね。駆けつけた医者が取り除いてくれていたけど、あれは悲惨だったね。
Q:終末世界でヒッグとシーマが絆を育むさまは、心が温まりました。劇中ではお二人だけのシーンも多かったと思いますが、撮影現場ではアドリブやその場で加えたシーンなどはありましたか?
ジェイコブ:かなりの量のアドリブがありました。僕とマーガレットでかなりの時間を費やして、シーンに自分たちらしさを加えたりしていました。あとは、その場のノリでセッションしながら、ポスト・アポカリプス作品で見られるお決まりのパターンから脱却して、自然な会話を見つけ出そうとしていました。二人のシーンでリアルな生活感を生み出すために、マーガレットが一緒になって取り組んでくれたのは、本当に幸運でした。
映画『ラスト・サバイバー』は全国公開中



