『踊る大捜査線』増田貴久、大人になった真下勇気「パパママへの思いを大切に」14年ぶり新作で刺激的な体験

織田裕二が主演を務め、社会現象を巻き起こした『踊る大捜査線』シリーズの14年ぶりとなる新作映画『踊る大捜査線 N.E.W. メトロポリスを駆け抜けろ!』(全国公開中)。同作のレジェンドキャラクター・真下正義(ユースケ・サンタマリア)と妻・雪乃(水野美紀)の息子であり、若くして管理官に大抜てきされた真下勇気を演じるのは、人気アイドルグループ「NEWS」としても活動する増田貴久だ。実年齢よりも20歳若い設定のキャラクターに挑んだ増田が、映画撮影の裏側や、織田演じる伝説的キャラクター・青島俊作との共演を振り返った。
【撮り下ろしカット】増田貴久、21歳になった真下の息子を熱演!
“趣味仲間”から『踊る大捜査線』出演オファー
「子供の頃から観ていた伝説的なコンテンツに自分が参加できることは、嬉しいという気持ちを通り越して不思議な感覚でした」とシリーズ初参加の心境を明かした増田は、シリーズを手がけてきた本広克行監督と以前から意外な形で交流があった。
「僕がもともと『MEDICOM TOY』(※ベアブリックなどを展開する玩具会社)のおもちゃが大好きで、本広監督とは『MEDICOM TOY』の展示イベントやレセプションパーティーなどで何度かお会いしていたんです。趣味を共有するお友達のような関係で、年に1~2回お食事をさせていただくこともありました」
ある日、「MEDICOM TOY」の関係者から増田のもとに「本広監督が連絡先を聞きたがっている」と連絡が届いたという。それは、再始動する『踊る大捜査線』シリーズへの出演オファーのためだった。「思わず立ち上がりました。真下勇気という役を探している時に、僕の顔を思い浮かべてくださったみたいです」と増田は当時を振り返る。
しかし、本作のオファーが届いた時期がドラマ撮影と重なっており、「いただいた撮影スケジュールが全て埋まっていたんです」と当初は出演が難しい状況だったという。結果的に、マネージャーやドラマチームとの連携でスケジュール調整に成功。「さまざまなタイミングが重なり、出演が叶って本当によかったです」と笑顔を見せた。
『THE FINAL』から14年、21歳になった真下勇気
真下勇気は、映画第4作『踊る大捜査線 THE FINAL 新たなる希望』(2012)で初登場しており、当時はまだ小学生だった。劇中では、捜査一課の警部・久瀬智則(香取慎吾)に誘拐され、青島俊作に助けられた過去がある。
あれから14年、勇気はハーバード大学を飛び級で卒業し、21歳の若さで警視庁刑事部捜査第一課管理官に抜てきされた。増田は、実年齢とキャラクターの年齢差にまず驚いたという。
「『THE FINAL』で小学生だった勇気が、21歳で帰国子女と聞いた時は驚きました。僕自身は今年で40歳になるので、一度『大丈夫ですか?』とお伺いしました(笑)。プレッシャーはありましたが、多くのファンから愛されてきた『あの勇気くんがどう成長して帰ってくるのか』という長年続く作品ならではの面白さを感じながら演じさせていただきました」
勇気のキャラクター像は、本広監督や亀山千広プロデューサーとディスカッションしながら、自身の解釈も交えて膨らませていった。
「過去作を観返して『2人(真下正義&雪乃)の間に生まれた子供はどう育つんだろう』と想像を膨らませました。劇中で描かれていない、家庭での2人の姿を知っているのは、息子である自分だけなので、パパとママへの思いを大切にしながら土台を作っていきました」
「本広監督や亀山プロデューサーとは、お会いするたびにディスカッションさせていただき、セリフの解釈などをメールで共有していただきました。撮影現場の全員が勇気というキャラクター像を明確に共有してくださっていたので、僕自身も自然と役に入り込むことができました。また、スタッフの皆さんの『踊る』に対する熱量がものすごく、衣装合わせから『勇気はこんな服を着ない』『もっと派手なのがいい』と意見をくださり、これまでの出演作で最も着替えたんじゃないかというくらい試行錯誤しました」
また、勇気は帰国子女らしく日本語と英語を織り交ぜて会話する。増田は「英語と日本語のバランスやセリフの言い回しには苦労しました」と振り返り、「日本語よりも英語の方が自然に出る設定なので、英語レッスンを受けながら“少し言葉遣いが拙いけれど、本質はすごく優秀で一生懸命な子”というニュアンスを意識しました」と演技の際に気をつけたことを明かした。
“青島”織田裕二との初対面は「不思議な感覚」
シリアスな展開の中で生まれる絶妙なコメディー描写は、『踊る大捜査線』シリーズの魅力の一つとも言える。最新作では、勇気もその魅力を引き出すキャラクターとして機能している。とあるシーンでは、本広監督の要望で増田がアドリブで演技を披露したという。
「シリアスとコメディーのバランスに関しては、撮影現場の空気感と本広監督の演出に引っ張っていただいた部分が大きいです。特に印象的だったのが、勇気が大人数の捜査員の前で演説をするシーンです。リハーサル通りに完璧に準備して『さあ本番』という直前に、本広監督が近くに来て『冒頭にアドリブで少し変なこと言えない?』とおっしゃったんです(笑)」
「大勢のキャストやエキストラさんが、ピリッとした空気の中で撮影を待っている中、僕が急にリハーサルと違う変なアドリブを投げることで、周りのリアルなリアクションや現場の空気感を引き出そうとされたんですよね。意図は理解できたのですが、はずしすぎてもダメですし、セリフが飛びそうになるくらいのプレッシャーでした。その場で生まれた一瞬の空気感やエッセンスを大切にする演出は、まさに本広監督ならではの『踊る』らしさだと実感しましたし、すごく刺激的な体験でした」
そして、『踊る』シリーズを象徴する伝説的キャラクター・青島俊作との共演。主演の織田と撮影現場で初めて対面した時の記憶は、今も鮮明に覚えているという。
「大先輩に対する緊張感というよりも、昔から知っている父親の職場の同僚に久しぶりに会うような……『あ、青島さんだ! 僕です、覚えていますか?』という不思議な感覚で自然とご挨拶ができたんです。織田さんが作品そのものの温かい雰囲気で現場に佇んでくださっていたからこそ、僕も役として変に構えることなくすっと現場に溶け込むことができました」
捜査会議室で他のキャストを交えて芝居をしている時も、増田の目の前にいたのは紛れもなく「青島俊作」そのものだったという。増田は「長年作品を愛してきたファンとしての視点もありつつ、撮影現場では青島さんと対峙する勇気としての感覚を自然に引き出していただけたので、本当に最高のコンディションで撮影に挑むことができました」と織田との共演を笑顔で振り返っていた。(取材・文:編集部・倉本拓弥)



