朝ドラ「ブラッサム」ショッキングなエピソードをあえて描いた理由

印象深い回となった第27回。
印象深い回となった第27回。 - (C) NHK

 石橋静河が主演を務める2026年後期放送のNHK連続テレビ小説「ブラッサム」の第27回が放送された。主人公の珠のショッキングなエピソードが描かれた。制作統括を務める村山峻平に、モデルとなった宇野千代の人生を絡めつつ、あえてそのエピソードをドラマで描いた理由を聞いた。※一部第27回以降のネタバレを含みます。

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 本作は、明治から昭和にかけて自由を求め、書くことを通じて自らと向き合い続けた作家・宇野千代をモデルとした連続テレビ小説第115作。岩国市に生まれた主人公・葉野珠(はの・たま)が、波瀾万丈な人生を歩みながら、小説家として大成していく姿を描く。

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 モデルとなった宇野千代の自伝的小説「生きて行く私」では千代の早産のエピソードは描かれていない。しかし史実上は2番目の夫・藤村忠との間で複数回妊娠し、そのうち4回流産したという話が残っている。子供について触れた文章は生前に残したエッセイ「九十歳、イキのいい毎日」の中にあり、そこで宇野は初めて自身の早産に言及し、早産で子供を育てることができなかった悲しみを綴っている。親交の深かった瀬戸内寂聴の「わたしの宇野千代」にも千代の出産事情についての言及がある。

 村山はこの早産のエピソードをドラマで描くにあたって、スタッフの間でいろんな意見が出たと振り返る。ただでさえ資料の少ない千代の流産の描写を「ブラッサム」に落とし込むには検証も必要だった。村山は「『生きて行く私』以外の作品でもあまり出産についての言及はない」と述べつつ、「子供をなくしたことが書かれている作品は存在するが、それが自伝的小説なのか、ご本人の体験なのかはわからない。かなり晩年の作品であるため、ご本人は今まで触れてこなかったが、書きたいと思った瞬間があるのだなと思いました」と千代の心情を分析する。

 千代が話したがらなかったことが、なぜドラマの中に落とし込まれたのか。村山は「宇野さんはそこでしか自分の言葉で自身の出産の事情について語っていない。その部分が僕らも具体的にはわからないし、そのエピソードをどこまで描くかはスタッフと何度も議論しました」と振り返る。

 村山は「生きて行く私」で、千代が他の子供たちに優しい目を向ける描写にも言及し、「千代さんの子供たちへの接し方はとても素敵ですが、そこには悲しみもあったということを、ドラマには盛り込む意味があるのではないかと思いました。宇野千代さんは、いろんな文脈で語られることが多い作家ですが、悲しみを抱えながらも、明るさを持ち続けていて、やはりすごい人なのだと改めて思いました。そのすごさも含めて、宇野さんが生きてきた部分と珠の人生をクロスさせていく時に、このエピソードが大事だと思いました」と早産のエピソードを盛り込んだ理由を明かす。

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 子供を失った珠の経験がドラマの後半、珠の晩年にどう影響を与え、それが何をもたらすかについては、「後半をどういう形にするかはまだ言えません」としつつも、村山は「千代さんにとって、それが一つの種だったという可能性があるというふうには考えています。僕らの珠の物語の中では、間違いなく大きな出来事なので、それを今後もオンにして見せていくのか、そうじゃないかは、まだ検討中という段階です」と話していた。(取材・文:名鹿祥史)

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