なぜ彼は売れ続けているのか?七色に輝く俳優・池松壮亮総力特集!(3/5)
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池松のフィルモグラフィーの中で、ある意味最も衝撃的と言えるのが高級マンションの一室で繰り広げられる乱交パーティーに集う男女の一夜を描いた『愛の渦』(2014)。演劇ユニット「ポツドール」を率いる演出・脚本家の三浦大輔が同ユニットの舞台を自ら映画化した本作で、無口なニートにふんした池松は女子大生役の門脇麦との激しいラブシーンに挑んだ。肉体的欲望がいつしか精神的なつながりを求めるようになっていく青年の心境の変化を、ほぼセリフなしで体現した。劇中ほとんど裸でいることもあり、「むき出し」の感情が強調されている。その後、立て続けに濡れ場の多い映画『海を感じる時』(2014)で主演。自我が薄弱で受け身なイメージの強かった『愛の渦』から一転し、自分に思いを寄せる後輩・恵美子(市川由衣)に関係を迫りながら、「女性の体に興味があっただけで相手は誰でもよかった」と言い放つツンデレな高校生役に。いずれもテアトル新宿で上映され、『海を感じる時』の9月13日から17日まで1日4回上映した興行収入の累計は、1日5回上映していた『愛の渦』に対して107%を記録。同劇場での記録的ヒットを打ち出した。
その後、直木賞受賞作家・小池真理子の半自伝的小説を『スイートリトルライズ』(2009)などの矢崎仁司監督が映画化した『無伴奏』(2015)では成海璃子、そして斎藤工とのラブシーンがセンセーションを巻き起こした。祐之介(斎藤)との秘めた関係を続けながらも、響子(成海)との出会いにも喜びを見いだしていく……。男女の間で揺れ動き苦悩する大学生という難役だが、ガラスのようにもろい繊細さを持つ哀しいキャラクターを見事に演じており、茶室での斎藤とのラブシーンには監督をして「池松くんの目から涙がこぼれたときなんかは、すごいものを映したなあと思いました」と言わしめた。
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