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どこへ行く?20世紀フォックス─その功績を振り返る

コラム

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20世紀FOX
最後のひと花?ディズニーに買収されたフォックスの意地! - Gabe Ginsberg / Getty Images

 21世紀フォックスの傘下にある20世紀フォックスの映画部門とテレビ部門をウォルト・ディズニー・カンパニーが買収することは、昨年末に報じられ、大きな衝撃を与えている。そんな中、20世紀フォックスが、ここのところ調子いい。オスカー作品部門最有力候補の『シェイプ・オブ・ウォーター』と『スリー・ビルボード』は、どちらもフォックス・サーチライト・ピクチャーズの作品。また、つい先日は、『グレイテスト・ショーマン』の北米興行収入が『ラ・ラ・ランド』でを抜いた。『シェイプ・オブ・ウォーター』と『スリー・ビルボード』はバイオレンスや汚い言葉遣いのある大人向けドラマで、『グレイテスト・ショーマン』は家族向けとはいえ、オリジナルのミュージカルというリスクの高い映画だ。いずれも、ディズニーのもとではおそらく作られない作品だけに、まるで最後のひと花を咲かせているように感じられなくもない。(文・猿渡由紀)

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グレイテスト・ショーマン
昨年のアカデミー賞最多6部門受賞『ラ・ラ・ランド』を興行収入で抜いた映画『グレイテスト・ショーマン』 - (C) 2017 Twentieth Century Fox Film Corporation

 フォックス・フィルムと20世紀ピクチャーズが合併して20世紀フォックスが生まれたのは、1935年のこと。ディズニーに売ると決めたルパート・マードックがオーナーになったのは、その50年後の1985年のことだ。長い歴史の間に、このスタジオは、数々の名作を生み出してきている。

 たとえば、映画史上最大のヒット作『アバター』(世界興行収入約27億8,800万ドル / 約3,066億8,000万円)と、2位の『タイタニック』(約21億8,700万ドル / 約2,405億7,000万円)は、いずれもフォックスの作品。今では信じられないかもしれないが、『タイタニック』は、製作当時トラブルが絶えず、予算も超過して、大コケ間違いなしと言われていたのだ(フォックスも、損を見越して、パラマウント・ピクチャーズを配給パートナーに取り付けている)。『アバター』も、『タイタニック』の実績があるジェームズ・キャメロンが監督とはいえ、なかなか説明しづらいオリジナル作品だった。そんな作品に2億3,700万ドル(約260億7,000万円)を投資するというのは、かなりの冒険だったのである。

アバター
3D映画の金字塔!『アバター』 - 20th Century Fox / Photofest / ゲッティ イメージズ

 1977年のオリジナル『スター・ウォーズ』も、ディズニーなどに断られた後、フォックスにゴーサインをもらって実現したものだ。今では『スター・ウォーズ エピソードIV/新たなる希望』として知られるこの映画の世界興収は7億7,500万ドル(約852億5,000万円)で、当時、史上最高記録を作った。近年では、アン・リー監督の『ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日』も、危険の大きいプロジェクトだったと言っていいだろう。

 もちろん、賭けはいつもうまくいってきたわけではない。1963年のエリザベス・テイラー主演作『クレオパトラ』は、当時としては破格の4,400万ドル(インフレ調整をすると3億4,000万ドル / 約374億円となり、史上2番目)の製作費を費やしたあげくに大失敗し、フォックスはスタジオの敷地の一部を売り払うことになっている。現在、ロサンゼルスのセンチュリーシティーと呼ばれるエリアがその場所だ。

タイタニック
世界中に感動を届けた不朽の名作『タイタニック』 - 20th Century-Fox / Photofest / ゲッティ イメージズ

 そんなカルチャーと伝統は、これからも引き継がれるのか。とりあえず、今のところ、フォックスでは、これまでどおりの姿勢で映画作りが続けられているようである。

 二社の間で合意は結ばれたものの、独占禁止法に触れないかどうか米政府が結論を出すのはまだ先で、それまでは合併に向けて実際に動くことはできない。そんな、いわば“保留”の状況の中ではすべてがスローダウンするのではと推測しがちだが、逆に『X-MEN』や『ファンタスティック・フォー』など、フォックスがライセンス権を所有しているマーベルコミックスのキャラクターを使った企画の数々は、フルスピードで製作が進められているという。自分たちが作りたいような映画は、好きに動けるうちにできるだけ軌道に乗せてしまおうということなのかもしれない。

X-MEN:アポカリプス
マーベルコミックスの人気ヒーロー「X-MEN」!『X-MEN:アポカリプス』より - Twentieth Century Fox Film Corporation / Photofest / ゲッティ イメージズ

 一方で、テレビのほうでは、ヒットメーカーのライアン・マーフィーが、早々とフォックスを切った。「僕のやることはディズニーっぽくないし」と言うマーフィーは、新たなホームベースとなるNetflixから巨額の契約金と自由を取り付けている。ヒットメーカーを失ったことで、フォックスのテレビ部門は、少なからず影響を受けるだろう。今後の数か月、もっと変化は訪れるのか。それはどんな変化で、作品にとってどんな意味を持つのか。関係者も、映画ファンも、不安な心持ちで見つめている。(数字はBox Office Mojo調べ・1ドル110円計算)

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