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河瀬監督らが語る日仏映画合作協定はなぜ必要なのか(2/6)

映画で何ができるのか

映画は世界の共通言語

ジュリエット・シュラメック
ジュリエット・シュラメックが所属するMK2では、深田晃司監督『淵に立つ』や濱口竜介監督『寝ても覚めても』のワールドセールスを担当。最近では同社が扱うか否かでカンヌ国際映画祭への道が拓いてる。

河瀬直美(以下、河瀬):カンヌで新人監督賞を受賞してから、昨年製作した『Vision』(2018)で長編映画10本目となりました。わたしは日本でも奈良という非常に古い町で育ち、自分の足元を掘り下げて映画を作ってきたわけですが、それが海を越え、多くの人々に観ていただくきっかけとなったのがカンヌ国際映画祭であり、フランスでした。それ以降、自分が映画を作るたびにカンヌで上映される機会を得て、たくさんの国の人に観ていただけるようになりました。

今、同席しているMK2のジュリエットさんには『2つ目の窓』(2014)、『あん』(2015)、『』(2017)のワールドセールスを担当していただきました。そうしてフランスの会社がわたしの作品を選出してくださったり、紹介してくださるという体制をずっと取っています。ワールドセールスカンパニーという存在のおかげで、自分の映画が島国の日本から世界へ行くという経験です。日本映画というのは、日本の国の中だけで興行が成立しているというのが現実です。けれども、そこから日本独自の文化を、映画を通して世界中の人に観ていただける場をお手伝いしてくださっているのが、フランスの方々なのです。

さらにCNCの皆さんには、脚本の段階から見ていただき、支援を得ています。資金をシェアすることでリスクを減らしたり、内容をビルドアップする。その過程で、映画を日本の価値観だけでなく、国を超えた共通言語となるのです。言葉は通じなくても、映像で通じ合って、クオリティーを高め合っているように思います。

こうしたサポートが日本の若い監督にどのような影響を与えていくのか。これからいろいろ考えていきたいと思っています。

ジール:今、河瀬さんから映画は共通言語であるというお話がありました。その映画の普遍性について、ジュリエットさんにお話を伺いましょう。なぜなら彼女は、河瀬直美、深田晃司濱口竜介ら日本人監督と仕事をし、最近では『メアリと魔女の花』を成功させています。

ジュリエット・シュラメック (以下、ジュリエット):『メアリと魔女の花』は当社だけでなく共同配給です。同作に関していえば、大々的な宣伝展開をしたわけではないのですが、公開時期を冬休みにしたこと、プレスの批評が良かったこと、さらに劇場でのビジュアル展開も効果的だったと思います。そこに口コミ効果が広がり、思った以上に興行成績を上げることができました。日本とわたしの“ツキ”が続いているという確信が持ててうれしかったです(笑)。同作に関しては共同配給でしたが、わたしの軸はフランスだけではなく、アニメであろうが実写であろうが、世界中にクオリティーのいい作品を輸出していくことにあります。

ジール:では、MK2が日本映画を手がけている理由はどこにあるのでしょうか?

ジュリエット:それは、日本のプロデューサーに伺った方がふさわしいかと思います。日本映画でも、日本の会社がワールドセールスを手がけている会社は数多くあります。その中で、なぜフランスの会社に委ねるのか。日本映画のプロデューサー陣が戦略として海外展開を考えた末の決断だと思います。

>次ページは「フランスの会社に欧州のセールスを任せるメリット」

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