女性たちの声が浮かび上がる!12月の5つ星映画5作品はこれだ!

今月の5つ星

 今月の5つ星映画は、カンヌ国際映画祭脚本賞受賞作、ロバート・ゼメキス監督作、デヴィッド・フィンチャー監督作、ブロードウェイミュージカルの映画版、のん6年ぶりの実写映画主演作。これが12月の5つ星映画5作品だ!

繊細なタッチで描かれる貴族の娘と女性画家の恋

燃ゆる女の肖像
(C) Lilies Films.

燃ゆる女の肖像』12月4日公開

 18世紀フランスの美しい孤島を舞台にした愛の物語。結婚を控える貴族のエロイーズと、その母親から見合い用の肖像画を依頼された画家マリアンヌ。最初は身分を隠して肖像画を完成させるが、その出来をエロイーズが否定したことで二人はキャンバス越しに向かい合うことになる。結婚相手としての“商品価値”を高めるための肖像画を、今度は自分たちを突き動かす情動のために描き直すなかで、二人の恋は必然のように燃え上がっていく。母が留守にする猶予としての5日間、召使のソフィを交えて身分をこえて連帯する二人の様子はほほ笑ましい。同時に、望まぬ妊娠をして堕胎するソフィや、作品を発表するために男性名を借りるマリアンヌの運命も描くことで、抑圧され忘却されてきた、さまざまな女性たちの声や情熱を浮かび上がらせる。これまで現代を生きる女性たちの姿を描いてきたセリーヌ・シアマ監督は、本作でカンヌ国際映画祭脚本賞とクィアパルム賞に輝いた。(編集部・大内啓輔)

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シビアなのに温かい極上のファンタジー

魔女がいっぱい
(C) 2020 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved.

魔女がいっぱい』12月4日公開

 『チャーリーとチョコレート工場』でおなじみのロアルド・ダールの児童書を、『バック・トゥ・ザ・フューチャー』のロバート・ゼメキス監督がファンタジックに映画化した本作。1960年代の豪華ホテルを舞台に、人間の子供たちをネズミに変えて駆逐しようとする邪悪な魔女たちと、その企みを知った少年&おばあさんの戦いを目にも鮮やかに描いている。ネズミに変えられても前向きに運命を受け入れる、おばあさん思いの少年の姿には、大人こそ涙腺を刺激されるはず。どんな不幸がその身に起こっても、心持ち次第で幸せに生きていけるのだ。愛情深いおばあさん役で『ドリーム』などオスカー常連のオクタヴィア・スペンサーが名演を見せており、彼女が孫に向ける眼差しにはグッとくるものがある。そして、何と言っても魔女たちを率いる大魔女役のアン・ハサウェイの振り切りぶりがすごい! 捨て身と言っても過言ではない演技で、子供たちのトラウマと化している。(編集部・市川遥)

ハリウッド黄金期から伝える現代へのメッセージ

Mank/マンク

Netflix映画『Mank/マンク』12月4日より独占配信開始

 『市民ケーン』の脚本家、“マンク”ことハーマン・J・マンキウィッツの視点から、1930年~1940年代のハリウッド黄金期を風刺的に描く伝記映画。デヴィッド・フィンチャー監督が、父親の脚本を基に念願の企画を実現させた。数々の映像マジックで観客を魅了してきたフィンチャー監督のこだわりは、『市民ケーン』が製作された1940年当時のスタイルを貫くことに注がれており、美しいモノクロで紡がれる物語は、まるで黄金期の映画が現代に蘇ったかのよう。一方で、ギャンブル好きでアルコール依存症の脚本家・マンクが、歴史的傑作に込めた思いは、政治的な狂騒が続く現代アメリカへ向けたメッセージにも受け取れる。ウィットに富んだ語り口で人々を魅了する、愛すべき天才・マンク役のゲイリー・オールドマンをはじめ、キャストの演技はもちろん見どころだが、実在した人物が次々に登場するため、『市民ケーン』を再見するのはもちろん、製作にかかわる人間関係を予習しておくとより楽しめるはず。(編集部・入倉功一)

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新たなスター2人の演技に注目!

ザ・プロム

Netflix 映画『ザ・プロム』12月11日より独占配信開始

 「glee」などで知られるライアン・マーフィーがブロードウェイミュージカルを映画化した本作は、LGBTQの子供たちがプロムに同性を連れていくことを禁じられた実話が基になっている。ガールフレンドとプロムに参加したい女子高生エマを、落ちぶれた舞台俳優たちが注目を浴びるために手助けしようとする騒動を描く。メリル・ストリープニコール・キッドマンジェームズ・コーデンら実力派キャストが、女子高生を勝手に応援する舞台俳優役として物語を彩る。きらびやかな世界で名声を得ることが生きがいになっている舞台俳優のディーディーと、飾らずにありのままの自分でいようとするエマが対照的。エマ役のジョー・エレン・ペルマンが、圧巻の歌と演技でさわやかな風を吹かせる。また、厳格な母親とエマとの間で心揺れるアリッサ役を熱演したアリアナ・デボースは、スティーヴン・スピルバーグ監督のリメイク版『ウエスト・サイド物語』でアニタを演じる注目株。堪えきれずこぼれてしまう彼女の涙の演技はもの哀しく、惹きつけられる。(編集部・梅山富美子)

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アラサー独身女性の認めたくない「あるある」が刺さりまくる

私をくいとめて
(C) 2020『私をくいとめて』製作委員会

私をくいとめて』12月18日公開

 ロングランヒットを記録した綿矢りさの同名小説に基づく『勝手にふるえてろ』の大九明子監督が、再び綿矢作品の映画化に挑戦。のん演じる31歳の独身女性・黒田みつ子は前作と同じく妄想癖のあるヒロインだが、脳内に相談役「A」がいるのがユニークであるのと同時に切実でもある。どこかメルヘンチックな雰囲気をたたえたのんが演じているだけに、初めはこの「A」との生活がほのぼのとして見えるが、映画オリジナルのアレンジを加えた温泉旅行のシーンからヒロインのギョッとするような本音が垣間見えるようになっていく。『勝手にふるえてろ』ではヒロインが歌いながら「隠していた自分」をさらけ出していくどんでん返し的展開があったように、本作でもまた大九監督ならではの仕掛けにより、アラサー独身女性の認めたくない「あるある」が刺さりまくる。のんは、およそ6年ぶりの実写映画主演作となる本作で、思いがけず訪れた恋にのたうち回るヒロインを熱演し、いまだかつてない表情を見せている。(編集部・石井百合子)

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