ちょっと気の早い!第93回アカデミー賞ノミネート予想【2021年版】
今週のクローズアップ
2020年も気が付けば、残り2か月。映画ファンにとっては、そろそろアカデミー賞の行方が気になってくるこの季節。といっても今年は新型コロナウイルスの影響で、授賞式が4月25日(現地時間)に延期された。例年にも増して、本当にちょっと気が早いけれど、必ずやオスカーに絡んできそうな注目作を一挙紹介!(編集部・中山雄一朗)
『ノマドランド』
【監督】クロエ・ジャオ
【キャスト】フランシス・マクドーマンド、デヴィッド・ストラザーン、リンダ・メイ
【日本公開日】2021年1月
第77回ベネチア国際映画祭で金獅子賞を獲得し、アカデミー賞の前哨戦として注目される第45回トロント国際映画祭の観客賞にも輝いた話題作。『スリー・ビルボード』『ファーゴ』で2度のオスカーを受賞したフランシス・マクドーマンドが主演。『ザ・ライダー』が高く評価され、マーベルの新作『エターナルズ(原題) / Eternals』に大抜てきされた女性監督クロエ・ジャオがメガホンを取った。
主人公はリーマンショック後、長年住み慣れた企業城下町の住処を失った60代女性ファーン(フランシス)。彼女が過酷な季節労働の現場を渡り歩きながら、車上生活者=現代のノマド(遊牧民)として生きていくさまが描かれる。賞レースを席巻する数多くの名作を世に送り出してきたサーチライト・ピクチャーズ作品。
『Mank/マンク』
【監督】デヴィッド・フィンチャー
【キャスト】ゲイリー・オールドマン、アマンダ・セイフライド、リリー・コリンズ、チャールズ・ダンス、タペンス・ミドルトン、トム・ペルフリー、トム・バーク
【日本公開日】2020年11月20日より一部劇場公開、12月4日よりNetflixで配信
『セブン』『ゴーン・ガール』の鬼才デヴィッド・フィンチャーが監督を務め、名優ゲイリー・オールドマンが1941年の名作『市民ケーン』の脚本家“マンク”ことハーマン・J・マンキウィッツを演じたNetflix作品。アルコール依存症の問題を抱えながらも、機知と風刺に富んだマンクの視点から、1930年代のハリウッドを描き出す。『市民ケーン』のモデルになった新聞王ウィリアム・ランドルフ・ハーストの愛人として知られた女優マリオン・デイヴィス役で『マンマ・ミーア!』シリーズのアマンダ・セイフライドが出演する。
『シカゴ7裁判』
【監督】アーロン・ソーキン
【キャスト】サシャ・バロン・コーエン、エディ・レッドメイン、ジョセフ・ゴードン=レヴィット、マイケル・キートン、マーク・ライランス、ヤーヤ・アブドゥル=マティーン二世、フランク・ランジェラ
【日本公開日】2020年10月16日よりNetflixで配信
『ソーシャル・ネットワーク』の脚本家で知られるアーロン・ソーキンがメガホンを取ったNetflixの法廷ドラマ。平和的に行われるはずの抗議デモが、警察との激しい衝突に発展し、その責任を問われた7人が、理不尽な裁判に挑む。エディ・レッドメインをはじめ、サシャ・バロン・コーエン、ジョセフ・ゴードン=レヴィット、マイケル・キートン、マーク・ライランスら豪華キャストの共演が見もの。
『マ・レイニーのブラックボトム』
【監督】ジョージ・C・ウルフ
【キャスト】ヴィオラ・デイヴィス、チャドウィック・ボーズマン
【日本公開日】2020年12月18日よりNetflixで配信
オスカー女優ヴィオラ・デイヴィスが“ブルースの母”の異名を持つ名シンガー、マ・レイニーにふんするNetflix映画。今年8月、大腸がんのため43歳の若さでこの世を去った『ブラックパンサー』のチャドウィック・ボーズマンさんが、野心に燃えるトランペット奏者役で出演する。名優デンゼル・ワシントンがプロデューサー、『サヨナラの代わりに』『最後の初恋』のジョージ・C・ウルフが監督を務める。
『あの夜、マイアミで』
【監督】レジーナ・キング
【キャスト】キングズリー・ベン=アディル、イーライ・ゴリー、オルディス・ホッジ、レスリー・オドム・Jr
【日本公開日】2021年1月15日より Amazon Prime Video で配信
『ビール・ストリートの恋人たち』でヒロインの母親を熱演して、アカデミー賞助演女優賞を獲得したレジーナ・キングの長編劇映画監督デビュー作。黒人解放運動の活動家マルコムX、ボクサーのモハメド・アリ、アメフト選手のジム・ブラウン、ソウル歌手のサム・クックという黒人レジェンドたち4人が一堂に会した架空の一夜を描く。トロント国際映画祭では『ノマドランド』に続いて観客賞の次点に選ばれた。アマゾン・スタジオ配給。
『ニュース・オブ・ザ・ワールド(原題) / News of the World』
【監督】ポール・グリーングラス
【キャスト】トム・ハンクス、ヘレナ・ゼンゲル
【日本公開日】未定
アカデミー賞作品賞などにノミネートされた『キャプテン・フィリップス』のトム・ハンクスとポール・グリーングラス監督が再タッグ。南北戦争から5年後、町を転々としながらニュースを人々に伝える主人公が、先住民族にとらわれた10歳の少女と出会い、彼女の意に反しながらも、実のおじおばのもとに送り届けようとする。
『ザ・ファザー(原題) / The Father』
【監督】フローリアン・ゼレール
【キャスト】アンソニー・ホプキンス、オリヴィア・コールマン
【日本公開日】未定
『羊たちの沈黙』のアンソニー・ホプキンスと『女王陛下のお気に入り』のオリヴィア・コールマンという、二人のオスカー俳優が共演。老いに直面し、認知症が進行していく父をアンソニー、その娘をオリヴィアが演じる。メガホンを取ったのは、これが映画監督デビューとなるフランス出身のフローリアン・ゼレールで、自身が手掛けた戯曲を映画化する。
『ヒルビリー・エレジー -郷愁の哀歌-』
【監督】ロン・ハワード
【キャスト】エイミー・アダムス、グレン・クローズ、ガブリエル・バッソ、ヘイリー・ベネット、フリーダ・ピント
【日本公開日】2020年11月13日より一部劇場公開、同月24日よりNetflixで配信
『ビューティフル・マインド』でアカデミー賞監督賞に輝いたロン・ハワード監督が、J・D・ヴァンスによるベストセラー回顧録を映画化したNetflixのヒューマンドラマ。『アメリカン・ハッスル』のエイミー・アダムスと『天才作家の妻 -40年目の真実-』のグレン・クローズという、オスカーノミネート常連の実力派二人が親子役で共演する。
名門イェール大学に通うJ・D・ヴァンス(ガブリエル・バッソ)は、理想の職に就こうとしていたとき、家族の問題によって、記憶から消そうとしていた苦い思い出のある故郷に戻ることを強いられ、自身のルーツと向き合う。薬物依存症の母をエイミー、幼いヴァンスを育ててくれた快活な祖母をグレンが熱演する。
『ザ・ファイブ・ブラッズ』
【監督】スパイク・リー
【キャスト】デルロイ・リンドー、ジョナサン・メジャース、クラーク・ピータース、ノーム・ルイス、イザイア・ウィットロック・Jr、チャドウィック・ボーズマン、ジャン・レノ
【日本公開日】2020年6月12日よりNetflixで配信
『ブラック・クランズマン』がアカデミー賞脚色賞を受賞した鬼才スパイク・リー監督の最新作となるNetflix映画。ベトナム戦争から約半世紀。共に戦った4人の黒人退役軍人が、埋蔵金と戦死した隊長の遺骨を探して、戦争の過酷な記憶が残るベトナムを再び訪れる。隊長の役でチャドウィック・ボーズマンさんも出演している。