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アカデミー賞監督賞は巨匠スピルバーグ、若手監督コンビ・ダニエルズが有力か?

第95回アカデミー賞

 『フェイブルマンズ』で9度目のノミネートにして3回目の監督賞受賞をねらう、巨匠スティーヴン・スピルバーグ。激しく追い上げているのが、『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』で賞レースを席巻中の若手監督コンビ、ダニエルズ(ダニエル・クワンダニエル・シャイナート)だ。一方、9つのノミネートを獲得した『イニシェリン島の精霊』のマーティン・マクドナーも気になる存在だ。『TAR/ター』のトッド・フィールド、サプライズで候補入りした『逆転のトライアングル』のリューベン・オストルンドなど、今年の監督賞はハリウッド大作からアートハウス系まで多彩な顔ぶれがそろった。(文・今祥枝)

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マーティン・マクドナー『イニシェリン島の精霊』

マーティン・マクドナー
マーティン・マクドナー監督 (C) 2022 20th Century Studios. All Rights Reserved.

 1996年に劇作家デビュー。以後、舞台「ピローマン」ほかでローレンス・オリヴィエ賞を受賞し、劇作家としての地位を確立した。映画初監督作の短編でアカデミー賞短編実写映画賞を受賞。初の長編監督映画『ヒットマンズ・レクイエム』でアカデミー賞脚本賞にノミネートされ、映画監督としても手腕を発揮し、『スリー・ビルボード』(2017)で賞レースを席巻した。5年ぶりの新作となる『イニシェリン島の精霊』は、1923年のアイルランドの小さな孤島を舞台に展開する“友人との縁切り”の物語。劇作家らしい会話劇とダークな喜劇のテイスト、常連のアイルランド出身の俳優の起用など、どこをとってもマクドナー節全開で手堅く票を集めそうだ。

マーティン・マクドナー
1970年3月26日生まれ
イギリス・ロンドン出身
主な監督作
『スリー・ビルボード』(2017)
セブン・サイコパス』(2012)
『ヒットマンズ・レクイエム』(2008・日本劇場未公開)
『シックス・シューター(原題) / Six Shooter』(2004)※短編

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ダニエル・クワン&ダニエル・シャイナート『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』

ダニエル・クワン&ダニエル・シャイナート
ダニエル・クワン(右)&ダニエル・シャイナート監督 (C) 2022 A24 Distribution, LLC. All Rights Reserved.

 コインランドリーを経営する中年女性が、マルチバースとカンフーで世界を救うアクション大作『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』。一躍今年の賞レースの台風の目となったのが若手のコンビ監督ダニエルズ(通称)だ。共にボストンのエマーソン大学で映画を学び、2011年から監督・脚本家コンビ・ダニエルズとして活動を開始。CM、MVなどの監督を経て、長編映画監督デビュー作『スイス・アーミー・マン』でサンダンス映画祭の監督賞を受賞。長編2作目の『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』で多くの批評家賞を受賞し、初のアカデミー賞候補に。勢いに乗ってスピルバーグ、マクドナーの対抗から本命に??

ダニエル・シャイナート
1987年6月7日生まれ
アメリカ・アラバマ州出身
主な監督作
ディック・ロングはなぜ死んだのか?』(2019)
『スイス・アーミーマン』(2016)

ダニエル・クワン
1988年2月10日生まれ
アメリカ・マサチューセッツ州出身
主な監督作
『スイス・アーミーマン』(2016)

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スティーヴン・スピルバーグ『フェイブルマンズ』

スティーヴン・スピルバーグ
スティーヴン・スピルバーグ監督 (C) Storyteller Distribution Co., LLC. All Rights Reserved.

 監督歴50年にして、監督賞ノミネートは『ウエスト・サイド・ストーリー』に続いて2年連続で9度目。マーティン・スコセッシに並ぶ記録となったハリウッドの巨匠だ。1971年のテレビ映画『激突!』で注目され、アカデミー賞では1977年の『未知との遭遇』で初の監督賞候補に。1986年(第59回)ではアービング・タルバーグ記念賞を受賞した。半自伝的な『フェイブルマンズ』は、映画愛と家族への思いにあふれたノスタルジーをかき立てる。『シンドラーのリスト』(1993)、『プライベート・ライアン』(1998)に次ぐ3度目の受賞となるか。

スティーヴン・スピルバーグ
1946年12月18日生まれ
アメリカ・オハイオ州出身
主な監督作
『ウエスト・サイド・ストーリー』(2021)
レディ・プレイヤー1』(2018)
ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書』(2017)
ブリッジ・オブ・スパイ』(2015)

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トッド・フィールド『TAR/ター』

トッド・フィールド
トッド・フィールド監督 (C) 2023 Getty Images

 俳優として『アイズ ワイド シャット』(1999)などに出演しているトッド・フィールドは、俳優業のかたわら、1980年代から映画製作を始めた。初の長編監督作『イン・ザ・ベッドルーム』がサンダンス映画祭で注目され、第74回アカデミー賞脚色賞候補に。長編監督2作目の『リトル・チルドレン』では、第79回アカデミー賞脚色賞の候補になった。16年ぶりの長編監督作『TAR/ター』は、ドイツの有名オーケストラで女性初の首席指揮者となったリディア・ターの暗い側面にフォーカスしたドラマ。過去2作と同じく主演俳優が高く評価されているように、卓越した濃密な人物描写はフィールドの得意とするところ。初のアカデミー賞監督賞ノミネートで、存在感を見せている。

トッド・フィールド
1964年2月24日生まれ
アメリカ・カリフォルニア州出身
主な監督作
『リトル・チルドレン』(2006)
『イン・ザ・ベッドルーム』(2001)

リューベン・オストルンド『逆転のトライアングル』

リューベン・オストルンド
リューベン・オストルンド監督 (C) SinaOstlund

 キャリア初期から国際映画祭で注目を浴び、第67回カンヌ国際映画祭の「ある視点部門」で上映された『フレンチアルプスで起きたこと』が審査員賞を受賞。『ザ・スクエア 思いやりの聖域』で第70回カンヌ国際映画祭パルムドールを受賞し、第90回アカデミー賞外国語映画賞にノミネートされた。『逆転のトライアングル』は、豪華客船の旅が悪夢に転じる中で、人間の心理をえぐる鋭い洞察と現代の社会問題を投影したシニカルな作風は、鬼才オストルンドの面目躍如。第75回カンヌ国際映画祭で2度目のパルムドールを受賞するという快挙を成し遂げ、アカデミー賞監督賞に初のノミネートとなった。

リューベン・オストルンド
1974年4月13日生まれ
スウェーデン・スティルソ島出身
主な監督作
『ザ・スクエア 思いやりの聖域』(2017)
『フレンチアルプスで起きたこと』(2014)
『プレイ』(2011・日本劇場未公開)

第95回アカデミー賞授賞式は、3月13日(月)午前7時30分よりWOWOWプライム、WOWOWオンデマンドにて生中継

作品賞 監督賞 主演男優賞 主演女優賞 助演男優賞 助演女優賞 全ノミネート一覧

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