水墨画のような光の微細な変化が味わい深い

2019年9月3日 平沢 薫 SHADOW/影武者 ★★★★★ ★★★★★

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SHADOW/影武者

 水墨画を味わうように、枯山水の庭を観るように、映像に浸ってしまう。映像の色彩を極限まで抑え、白黒のようだがそうではないという微妙な状態に留めることで、光の量の微細な変化を味わせてくれるのだ。
 室内には墨で文字の書かれた薄い布が天井から下げられ、それが何枚も重なって揺れ、光の濃淡が変化していく。戸外の出来事の背後に常に見えている風景は、近くの山は濃く、遠くは薄く、水墨画そのもの。霧が満ちていく竹林は、それだけで名画になる。そして雨。雨が激しく降り注ぎ、飛び散りながら光を乱反射させて、光の饗宴を繰り広げる。この影と光に、剛と柔という"動き"の変化が掛け合わされていくさまを、ただ味わいたい。

平沢 薫

平沢 薫

略歴:映画ライター。視覚に訴えかけるビジュアルの派手な映画がお気に入り。「SCREEN」「SCREEN ONLINE」「キネマ旬報」「SFマガジン」「映画.com」「Movie Walker」等で執筆。他に「キングスマン:ゴールデン・サークル」ノベライズ、「グレートウォール」ノベライズ、「X-ファイル 2016」ノベライズ、「フランケンウィーニー」ノベライズ、「「ターミネーター:新起動/ジェニシス ビジュアルガイド」翻訳など。ウェブで映画やTVドラマのニュースを追いかけ中

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