シネマトゥデイ

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シュヴァルの理想宮の形自体が、別の物語を語りかけてくる

  •  "シュヴァルの理想宮"は実際にフランスにある奇妙な建造物。まったく建築知識のない一人の郵便局員シュヴァルが1879年に着手し、周囲の人々に変人扱いされながら、33年間の歳月を掛けて自分一人で作った。その造形は既存の様式には属さず、作者独自の不可思議な美意識に貫かれている。
     本作は実際にこの建造物で撮影し、その造形を多様な角度から映し出す。すると、脚本はシュヴァルの創造行為を父の娘への愛の物語として描こうとするのだが、スクリーンに映し出される実際の"形"が、その物語に収まらない。奇妙な動物のような浮彫、重力を無視した階層の連なり、シュヴァルの宮殿の造形自体が、別の物語を訴え掛けてくる。

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平沢 薫

平沢 薫

略歴: 映画ライター。視覚に訴えかけるビジュアルの派手な映画がお気に入り。「SCREEN」「キネマ旬報」「SFマガジン」「映画.com」等で執筆。著作に「キングスマン:ゴールデン・サークル」ノベライズ、「グレートウォール」ノベライズ、「X-ファイル 2016」ノベライズ、「フランケンウィーニー」ノベライズ、「「ターミネーター:新起動/ジェニシス ビジュアルガイド」翻訳など。ウェブで映画やTVドラマのニュースを追いかけ中

近況: 「アースクエイクバード」@Netflix、ストーリーはさておき、リドリー・スコットのスコット・フリー・プロダクションズ製作らしい映像で描かれる「異邦人の目から見た日本」の光景が興味深い。監督は「コレット」の英国人監督ウォッシュ・ウェストモアランド。見慣れた東京の風景も、こう撮るのか、という発見が。佐渡の風景がエキゾチックだが、きっとこの映画の中にしかない佐渡なのだろう。

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