それぞれが動き始める姿が、清々しい

2020年6月29日 平沢 薫 のぼる小寺さん ★★★★★ ★★★★★

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のぼる小寺さん

 青春映画として、清々しい。淡い恋愛ものではあるのだが、それは主題ではない。高校の運動部員たちの話だが、いい意味で汗臭くない。その理由の一つはこの物語が、誰かが必死の努力によって何かの達成を目指す話ではないからだろう。主人公は、タイトルの小寺さんではなく、彼女を見ている高校生男子。小寺さんはポルダリング部員で、ただ登るのが気持ちいいから登っている。すると、そんな彼女を見ている周囲の人々が、自分もとにかく動き出したくなり、それぞれの場所で動き始める。そんな物語なのに、暑苦しくなく説教臭くもなく、軽やかで爽やかなのは、常に明るい色彩と、登場人物たちの間の距離が急には近くならないせいだろうか。

平沢 薫

平沢 薫

略歴:映画ライター。視覚に訴えかけるビジュアルの派手な映画がお気に入り。「SCREEN」「SCREEN ONLINE」「キネマ旬報」「SFマガジン」「映画.com」「Movie Walker」等で執筆。他に「キングスマン:ゴールデン・サークル」ノベライズ、「グレートウォール」ノベライズ、「X-ファイル 2016」ノベライズ、「フランケンウィーニー」ノベライズ、「「ターミネーター:新起動/ジェニシス ビジュアルガイド」翻訳など。ウェブで映画やTVドラマのニュースを追いかけ中

近況:「ザ・ループ TALES FROM THE LOOP」@Amazon Prime の世界が静かで寒くて切ない。クリエイター・コンビの一人は、ディストピア画集「エレクトリック・ステイト」のシモン・ストーレンハーグ。もう一人は「レギオン」「アウトキャスト」の脚本家ナサニエル・ハルパーン。この2人にピンとくるなら必見。

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