多様性のストライクゾーンぎりぎりを突く現代の寓話

遊園地のアトラクションに恋心を抱く、鉄や機械油に性的なものを感じる……という設定はJ.G.バラードの『クラッシュ』を連想させるが、こちらは変態チックではなくメルヘンに近い。
闇夜を照らす遊具のカラフルなライトは美しく幻想的。最初は地味に見えたヒロインのファッションの変化も効果的。『燃ゆる女の肖像』も記憶に新しいN・メルランの官能的な熱演が映える。
多様性の受容というテーマを含んでいる点では、おとぎ話というよりはむしろ寓話。多様性の際どい部分を狙っているので物語の好き・嫌いが分かれるだろうが、テーマにはブレがない。そういう意味で一見の価値がある。