忘却の彼方に! 汝の名はカポネなり

暗黒街の顔役だったカポネはこれまで映画やドラマでグラマラスな描かれ方をされることが多かったが、本作でT・ハーディが演じるギャングは哀れそのもの。ベッドで脱糞したり、妄想と現実の区別がつかなくなったり、『オズの魔法使い』を見ながら歌い出したり。言葉も不明瞭で、字幕無しだと意味不明な場面も多数。梅毒って怖い! 老けメイクと作り込んだ声の演技が光るハーディの熱演のおかげで、正気を失いつつある老ギャングとリア王の晩年が被り、実話ドラマに演劇的効果をもたらされる。忘却の彼方に向かうカポネに振り回されるFBI捜査官も登場するが、この部分ははっきり言って不要にしか思えない。