アクション映画のカタルシス、こうあるべきという至福のひととき

自分を「ノーバディ=何者でもない」と称しつつ、明らかにヤバいことしてきたような主人公。そんな冒頭から、サエない中年男がヒーローに変貌する展開を想像させるが、その想像を軽く上回るハード&ドラマチックな瞬間が何度も用意され、アクション映画の純粋な興奮に浸らせる“超拾いモノ”的快作。
日々のルーティンをきっちりこなし、家庭では理想の父親。テンポよく進む日常が、そのまま映画全体のスピードとノリを支配する。えげつないほど泥臭く、激しいシークエンスには、主人公の能力と、年齢による衰えが絶妙に計算され、ブラックなギャグ、脱力する余裕、驚きの作戦、そして名作へのオマージュと、あらゆる要素が過不足なく絡み合う!