シネマトゥデイ

今週のクローズアップ 2013年のヒット作を総まくり!

 今年もいよいよ残りわずか。アカデミー賞シーズン、ゴールデンウイーク、夏休みと映画界を活気づけた話題作の中で、2013年に最もヒットした映画は……? 洋邦の国内年間ランキングと共に、今年の動向を振り返ります!(ランキング・数字は興行通信社調べ)

大人向けのジブリアニメ『風立ちぬ』の予想を上回るヒット

 スタジオジブリの『風立ちぬ』は、「1930年代が舞台」「主人公のモデルはゼロ戦の設計者・堀越二郎と作家の堀辰雄という設定を聞いて、「明らかにオトナ向けの内容」「『崖の上のポニョ』のようにファミリー層まで取り込むヒットは望めないだろう」と思った人も多いハズ。しかし、ふたを開けてみたら『崖の上ポニョ』には届かないものの、12月23日時点での累計興収は120億円。さらに、ニューヨーク映画批評家協会賞アニメーション賞、ナショナル・ボード・オブ・レビュー賞2013でアニメーション映画賞を受賞、さらにゴールデン・グローブ賞では邦画で23年ぶりに外国語映画賞にノミネートされるなど、アカデミー賞の前哨戦といわれる賞レースをにぎわせ、宮崎駿、そしてスタジオジブリブランドの強さを見せつける格好となった。

 また、初日2日間の客層は、男女比47対53。20代が25.4パーセント、40代が22.7パーセント、30代、50代がそれぞれ14.7パーセント、16歳~19歳が13パーセント。幅広い世代の支持を得た。「夢を追い続けることの素晴らしさとその代償」という普遍的テーマのみならず、震災後の先行き不透明な日本にエールを送るかのような、がむしゃらに生きる主人公の姿がダイレクトに届いたのだろう。宮崎駿監督のベネチア国際映画祭での長編アニメ制作引退発表も踏まえると、アカデミー賞での賞レース展開への期待にも拍車が掛かる。

 

(C) 2013 二馬力・GNDHDDTK

主演作が2本ベスト10入りした福山雅治

 今年、邦画界で最も輝いた人物といえばコノ人! 人気テレビドラマ「ガリレオ」シリーズの劇場版第2弾『真夏の方程式』、そして海外での評価も高い是枝裕和監督とタッグを組んだ『そして父になる』。前者の最終興収は33億1,000万円、上半期邦画実写映画ではナンバーワンヒットを記録。後者は、カンヌ国際映画祭で審査員賞を受賞したことから全国309スクリーンでの拡大公開が功を奏し、12月23日時点で累計興収31億5,000万円。

 『真夏の方程式』は、原作者が今や映画界に欠かせないキーパーソンでもある東野圭吾であることも大きいが、劇場版第1作『容疑者Xの献身』しかり、近年量産され続けている「テレビドラマシリーズの映画版」というフォーマットの中で、クオリティーがずば抜けて高いことも特筆すべき点だ。福山演じる物理学者・湯川学のキャラクター、殺人事件の巧みなトリック、事件の意外な真相、いずれもテレビシリーズとは違う醍醐味(だいごみ)を意識して作られているのがよくわかる。一方、『そして父になる』は、「子どもを取り違えられた家族の決断」というセンセーショナルな題材、本作で初めて父親役に挑んだ福山の新境地が話題となり、若年層から年配層まで幅広い客層が劇場に足を運んだ。ハリウッドリメイク決定のニュースも追い風に。

 

「真夏の方程式」
ブルーレイスペシャル・エディション〈初回限定版〉 価格:7,035円 (税込み)
DVDスペシャル・エディション〈初回限定版〉 価格:5,985円 (税込み)
発売元:アミューズソフト
販売元:ポニーキャニオン

アカデミー賞&著名人絶賛の声で盛り上がった『レ・ミゼラブル』

 洋画ランキング2位となった『レ・ミゼラブル』は、最終興収58億8,000万円。世界中で知られる名作ミュージカルを、『英国王のスピーチ』でオスカーを獲得したトム・フーパーが実写映画化。ヒュー・ジャックマンアン・ハサウェイら美声を持つ実力派キャストの集結と、品質保証に十分な材料がそろい、ミュージカルファンである30~40代の女性の関心をひいた。のちに元AKBの前田敦子がツイッターで本作を4回鑑賞したことを発言、福山雅治がラジオで「感激した」と話すなど著名人の絶賛の声が反響を呼び、男性、若年層まで広がった。

 さらなる宣伝効果となったのが、アン・ハサウェイの助演女優賞をはじめアカデミー賞での3部門受賞。授賞式では、キャスト陣が壇上に集結し、映画のキーナンバーでもある「ワン・デイ・モア」を大合唱。いまだかつてないぜいたくなパフォーマンスも話題となり、公開11週目にして4位にアップ。実写の洋画では1位の成績となった。

 
「レ・ミゼラブル」※ブルーレイ
発売日:2014年3月5日
価格:1,980円(税込み)
発売元:ジェネオン・ユニバーサル・エンターテインメント
「コメディーは当たらない」法則を覆した『テッド』

 2013年の洋画で最も大きな話題となったのが、日本では当たらないとされるジャンル、ハリウッドのコメディー映画『テッド』のヒット。過去10年間の洋画の年間ランキングをさかのぼっても、実写のコメディー映画でベスト5に入った作品はないため、これは異例の快挙といえる。見た目は愛らしいクマのぬいぐるみだが、中身はドラッグ&女好きの中年おやじというキャラクターのギャップが大いに受け、R15+指定作品ながら高校生~30代女性を中心に、カップルや友人同士など多数を集客。初登場首位発進ののち口コミ効果により、公開10日間で累計興収10億円を突破した。

 マーク・ウォールバーグ演じる親友ジョンとポコポコ殴り合う取っ組み合いのケンカをしたり、マリファナを吸ったり美女をナンパしたり、筋金入りの「不良」で、下ネタ描写もかなり際どいものの、見た目がかわいいので不快どころか痛快。恋人に「わたしかあのクマかどっちかを選んで」と迫られ、オトナの男性に成長しようとするジョンの葛藤など、作品のタッチとは裏腹に意外と真摯(しんし)なテーマも含まれており、後味のいいラストになっているところも口コミ評判につながった。ちなみに、レンタルランキングでは6週連続トップ、12月17日付けでTSUTAYAが発表したブルーレイ&DVDランキングで堂々の1位に輝くなど、と公開後の人気も衰えておらず、続編の全米公開が2015年4月に控えている。

 
「テッド」※ブルーレイ
発売日:2014年3月5日
価格:1,980円(税込み)
発売元:ジェネオン・ユニバーサル・エンターテインメント
サブキャラが主役に! 前作以上のヒットとなった『怪盗グルー』

 前作『怪盗グルーの月泥棒 3D』では、ひょんなことから3人の孤児を育てるハメになった月泥棒グルーの騒動がメインだったが、続編『怪盗グルーのミニオン危機一髪』ではサブキャラのミニオンが大活躍。前作の最終興収の約2倍となる24億3,000万円を稼ぎ出した。ファミリー、ティーン、カップル層まで幅広い層の集客に成功し、都市部のみならず地方での成績が好調だったことも大きい。

 身長70センチ程度、脳みそはピーナッツの殻ぐらいの大きさ、溶接用ゴーグルと防水オーバーオールがトレードマーク、好物はバナナという黄色い不思議生物ミニオン。先に触れた『テッド』しかり、「かわいい」だけでなく言動が予測不可能で少々「毒の効いた」キャラが、キッズのみならずオトナの興味をも引いた理由の一つだろう。


「怪盗グルーのミニオン危機一発 ブルーレイ(E-Copy)」
発売日:2014年3月5日
価格:3,990円(税込み)
発売元:ジェネオン・ユニバーサル・エンターテインメント
亡きポール・ウォーカーのアタリ役『ワイルド・スピード』第6弾

 今年の11月30日に交通事故で急逝したポール・ウォーカーの主演作で、シリーズ第6作となる『ワイルド・スピード EURO MISSION』は、ベスト10圏外だった前作『ワイルド・スピード MEGA MAX』の最終興収14億4,000万円から約6億円もの差をつけ、20億3,000万円で10位にランクイン。シリーズが進むにつれてレベルが上がっていくカーチェイスが売りとなっているが、今回も対向車を宙に飛ばす威力を持つ改造車に戦車、大型航空機まで飛び出す怒濤(どとう)のアクションシークエンスがさく裂。ヴィン・ディーゼル演じるすご腕ドライバー、ドミニクの死んだはずの恋人が復活するなど、長らくシリーズを見守ってきたファンだからこそわかる衝撃の展開も。

 ポール・ウォーカー&ヴィン・ディーゼルの名コンビで全米、国内共に絶大な支持を得てきた本シリーズだが、ポールの死によっていったん製作は中止に。すでにシリーズ7弾を製作中でポールの出演シーンの半分を撮影済みだったため、脚本をリライトしている最中だという。

 

ワイルド・スピード EURO MISSION ブルーレイ+DVDセット(E-Copy)
価格:4,190円(税込み)
発売中
発売元:ジェネオン・ユニバーサル・エンターテインメント

<総評>

2013年度洋画興収ベスト10 12月23日時点(推計概算)
  作品名 配給会社 公開日 興行収入
1 モンスターズ・ユニバーシティ ディズニー 2013/7/6 89.5億円
2 レ・ミゼラブル 東宝東和 2012/12/21 58.8億円
3 テッド 東宝東和 2013/1/18 42.4億円
4 シュガー・ラッシュ ディズニー 2013/3/23 30.0億円
5 007 スカイフォール ソニー 2012/12/1 27.5億円
6 アイアンマン3 ディズニー 2013/4/26 25.7億円
7 怪盗グルーのミニオン危機一発 東宝東和 2013/9/21 24.3億円
8 ローン・レンジャー ディズニー 2013/8/2 20.9億円
9 ダイ・ハード/ラスト・デイ FOX 2013/2/14 20.6億円
10 ワイルド・スピード EURO MISSION 東宝東和 2013/7/6 20.3億円
●2013年正月映画から2013年11月公開までの作品が対象。
●興収値はあくまで当社推定値。見込み成績含む。
(興行通信社調べ)

●洋画
『オブリビオン』『ワールド・ウォーZ』『華麗なるギャツビー』『アフター・アース』……ベスト10圏外となった作品を挙げてみると、トム・クルーズブラッド・ピットレオナルド・ディカプリオウィル・スミスら人気スターの主演作がズラリ。ジョニー・デップ主演の『ローン・レンジャー』が8位にランクインしたものの、もはやスターが客を呼ぶ時代は終わったのか、スターが旬の時を終えたのか。そのほか、前評判の高かった『パシフィック・リム』『スター・トレック イントゥ・ダークネス』『マン・オブ・スティール』といった夏のSF大作も、話題を『風立ちぬ』に持って行かれたためか、今一歩の結果に。『モンスターズ・ユニバーシティ』『アイアンマン3』といった、ファミリー、カップルが気軽に観られる軽快なテイストのタイトルが多く並んだ。




2013年度邦画興収ベスト10 12月23日時点(推計概算)
  作品名 配給会社 公開日 興行収入
1 風立ちぬ(上映中) 東宝 2013/7/20 120.0億円
2 ONE PIECE FILM Z ワンピース フィルム ゼット 東映 2012/12/15 68.5億円
3 映画ドラえもん のび太のひみつ道具博物館 東宝 2013/3/9 39.8億円
4 名探偵コナン 絶海の探偵 東宝 2013/4/20 36.3億円
5 真夏の方程式 東宝 2013/6/29 33.1億円
6 映画 謎解きはディナーのあとで 東宝 2013/8/3 32.5億円
7 劇場版ポケットモンスター ベストウイッシュ 神速のゲノセクト ミュウツー覚醒 東宝 2013/7/13 31.7億円
8 そして父になる(上映中) ギャガ 2013/9/28 31.5億円
9 ドラゴンボールZ 神と神 東映/FOX 2013/3/30 30.0億円
10 清須会議(上映中) 東宝 2013/11/9 27.3億円
●2013年正月映画から2013年11月公開までの作品が対象。
●興収値はあくまで当社推定値。見込み成績含む。
(興行通信社調べ)


●邦画
『風立ちぬ』が2位と約50億円以上もの差をつけてダントツの1位という結果となった邦画界。近年は洋画離れが顕著だったが、今年は実写作品で最高記録となる『真夏の方程式』の最終興収が、洋画の実写作品『レ・ミゼラブル』『テッド』を下回る成績となった。6位の『映画 謎解きはディナーのあとで』は、公開時にテレビでスペシャルドラマ企画が連発されたこともヒットの引き金となったようだ。そして、11月上旬に封切られ10位に滑り込んだ『清須会議』。笑いの匠こと、三谷幸喜監督だからこそ集結するキャストの豪華な顔ぶれ、織田信長、羽柴秀吉らなじみ深い戦国武将という題材が、老若男女に訴求した。ベスト10のうち、6本がアニメ作品。映画ファンにとっては少々寂しい結果となったが、「アニメ大国日本」をダイレクトに表すランキングともいえる。

構成・文:シネマトゥデイ編集部・石井百合子


[PR]

この記事を共有する

関連情報
映画アクセスランキング
  • Loading...
»もっとランキングを見る«
スポンサード リンク
スポンサード リンク