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エヴォリューション (2015):映画短評

エヴォリューション (2015)

2016年11月26日公開 81分

エヴォリューション
(C) LES FILMS DU WORSO ・ NOODLES PRODUCTION ・ VOLCANO FILMS ・ EVO FILMS A.I.E. ・ SCOPE PICTURES ・ LEFT FIELD VENTURES / DEPOT LEGAL 2015

ライター2人の平均評価: ★★★★★ ★★★★★ 4

相馬 学

光に彩られて揺らぐ、あまりに美しい希望or絶望

相馬 学 評価: ★★★★★ ★★★★★

 未来に何が待つのかわからない漠然とした恐怖と、性的なものへの不安や憧れ。子どもが抱える、そんな2つの要素を柱にして映像詩を展開させる。

 海面・海中の光の揺らぎをイメージ的にとらえたビジュアルが何より目を引く。それは子どもたちの心の揺れの象徴か。ドラマに挟み込まれたこれらの映像美は、酔えるだけでなく思索をも促す。

 前作『エコール』もそうだったがアザリロヴィック監督は、囲い込まれた世界から抜け出したい子どもの願望を、ファンタジー風に描き出す。行く先に待つのは希望か、絶望か。結末に何を見るかも、観客の感性によって異なってくるだろう。いずれにしても印象度は強烈。凄い。

この短評にはネタバレを含んでいます
平沢 薫

この海は死の匂いがする

平沢 薫 評価: ★★★★★ ★★★★★

「エコール」で"少女というもの"を描いた女流監督が、本作で描くのは"少年というもの"。少女たちは森に潜んでいたが、少年たちは海辺に住んで、海と陸を行き来する。
 海は生命を育むはずなのだが、この海は死の気配が濃い。色も青ではなく、深い緑色。海の底に近づくにつれて光の量は減り、色彩が無くなる。光が薄れると影もぼやけて、あらゆる輪郭が曖昧になる。生と死の境界線も失われていく。緑色の海の中で、少年たちの白く薄い身体と、海に棲息する生物の奇妙な形との区別も曖昧になっていく。ここでは少年たちの傍にいる成人女性の形をした生物は、母親ではない。監督独自の少年論が、奇妙な夢のようなイメージで綴られていく。

この短評にはネタバレを含んでいます
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