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プアン/友だちと呼ばせて (2021) 映画短評

2022年8月5日公開 129分

プアン/友だちと呼ばせて
(C) 2021 Jet Tone Contents Inc. All Rights Reserved.

ライター6人の平均評価: ★★★★★ ★★★★★ 3.7

なかざわひでゆき

タイ各地の美しい風景も堪能できる切ない友情ドラマ

なかざわひでゆき 評価: ★★★★★ ★★★★★

 ニューヨークでお洒落なカフェバーを経営するイケメン青年ボスが、ガンで余命いくばくもない親友ウードに呼ばれて故郷タイへ戻り、元カノたちへ謝罪と別れを告げるウードの旅路に同行する。その過程で親友同士の複雑な過去が紐解かれ、やがてウードの物語がボスの物語へと繋がれていくストーリーはなかなか巧み。かつて自由と成功を夢見てアメリカへ渡った主人公が、豊かになった祖国を目の当たりにして感じる郷愁とも相まって、瑞々しくもほろ苦くて切ない友情ドラマに仕上がっている。いわば青春の光と影。チェンマイにパタヤ、コラートなど、タイ各地の風光明媚なロケーションをスタイリッシュに捉えた美しい映像も印象に残る。

この短評にはネタバレを含んでいます
相馬 学

ウォン・カーウァイ印も納得の泣きロマン

相馬 学 評価: ★★★★★ ★★★★★

 『バッド・ジーニアス 危険な天才たち』で注目された俊英の新作だが、製作を手がけたウォン・カーウァイの色も濃い。

 自由で身勝手な男たちの傷心を、ロマンチシズムたっぷりに描いた点は、まさにそれ。二部構成というべき転調は『恋する惑星』『天使の涙』を彷彿させる。

 映像も一見すると、カーウァイ作品の色彩や構図を手本にしているようにも見える。それでもスタイリッシュさより、エモさが際立つのはプーンピリヤ監督のセンスゆえか。グッとくる展開への運びが巧い。

この短評にはネタバレを含んでいます
斉藤 博昭

青春ロードムービーの王道。主人公が時折、大谷翔平に見えたりも

斉藤 博昭 評価: ★★★★★ ★★★★★

現在のタイを舞台にしつつ、カセットテープなどアナログアイテムを全面に押し出したうえに、アジア人の遠い外国での孤独と切ない恋、すれ違いの物語など、ウォン・カーウァイをはじめ80〜90年代のテイストを意識した作りが、今なお新鮮に心を締めつけてくることを、きっちり証明した一作。
主人公の一人が“余命わずか”という基本設定も湿っぽくはならず、男同士の友情ロードムービーとして心地よい空気を全編に満たしていくのは、音楽の入れ方やカット割り、即興演技の多用など、この監督の類い稀なセンスのおかげだろう。劇中にたびたび出てくるカクテルのように、映画自体も、思いも寄らぬ素材を絶妙にマッチさせ、感動へと繋げていく。

この短評にはネタバレを含んでいます
くれい響

B面で恋をして

くれい響 評価: ★★★★★ ★★★★★

『バッド・ジーニアス 危険な天才たち』監督の最新作となると、自然とハードルも高くなってしまうが、前作で炸裂したようなスピーディーでスリリングな演出は見られない。とはいえ、今回も絶妙な映像&音楽センスで青春のほろ苦さを描きつつ、カセットテープのA面からB面に変わるように中盤から別視点で物語が語られるなど、タイ映画界の新しい波ともいえる作家性を発揮している。過去との決別という意味では、『ハッピー・オールド・イヤー』にも通じるが、やはりウォン・カーウァイ製作総指揮だけに、『マイ・ブルーベリー・ナイツ』×『ブエノスアイレス』なロードムービーとしての心地良さもあり、★おまけ。

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平沢 薫

事実が明かされるたびに、静かな感動が打ち寄せる

平沢 薫 評価: ★★★★★ ★★★★★

 友情についてのドラマでありつつ、時の経過というものについての物語でもある。NYでバーの店主として働く主人公が、故郷のタイで暮らす余命わずかな友人に頼まれて、彼が元カノたちに会う旅に同行することになる。2人がどんな人物でどんな関係なのかは最初は描かれず、元カノたちとの思い出の中で少しずつ明かされていく。事実がひとつ分かるたびに静かな感動があり、それが何度も波のように打ち寄せる。判明する事実の中には、サプライズも仕掛けられている。
 画面の色彩が、どの時代、どの場所でも鮮やかで、そこにプロデュースを務めた『花様年華』『恋する惑星』のウォン・カーウァイの色調を思い出させたりもする。

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森 直人

ウォン・カーウァイ再評価の季節が訪れているらしい

森 直人 評価: ★★★★★ ★★★★★

大傑作『バッド・ジーニアス 危険な天才たち』で気を吐いたタイ出身のバズ(ナタウット)・プーンピリヤ監督が、カーウァイ御大のプロデュースで撮った「青春総決算」的快作。『死ぬまでにしたい10のこと』『ブロークン・フラワーズ』『1秒先の彼女』等々を想起させつつ、このタッグならではの固有の化学反応を生んだ。

監督のパーソナルな想いを率直に反映したせいか「男の子感」満載の甘酸っぱい物語となったが、「ここではないどこか」を夢見る若者たちの脱出願望や孤独に紐付いた楽曲使用などカーウァイDNAもしっかり。同じく『ブエノスアイレス』の影響下にある工藤梨穂監督の『裸足で鳴らしてみせろ』との共通性も興味深い。

この短評にはネタバレを含んでいます
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