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水は海に向かって流れる:映画短評

水は海に向かって流れる

2023年6月9日公開

水は海に向かって流れる
(C) 2023映画「水は海に向かって流れる」製作委員会 (C) 田島列島/講談社

ライター4人の平均評価: ★★★★★ ★★★★★ 3.5

相馬 学

シメに技あり

相馬 学 評価: ★★★★★ ★★★★★

 ラストを除けば、原作にほぼ忠実な映画化。そういう点では、ナイスなキャスティングを含めて、原作ファンの期待を裏切らない。

 忠実ゆえに前半のテンポは少々もたつくものの、キャラのそれぞれの心の動きをとらえている点がドラマのミソ。問題が起きても“転んだだけ”ととりつくろう大人と、そんな状況にいら立ちつつも我慢を強いられ、正しく怒れない子どもたち。その対比が現実的で面白い。

 で、肝心のラスト。原作のそれはファンタジーにも思えたが、映画は判断を観客に委ねる。ドラマの現実味を貫くうえで、この改変は上手い。

この短評にはネタバレを含んでいます
なかざわひでゆき

これはキャスティングの勝利!

なかざわひでゆき 評価: ★★★★★ ★★★★★

 叔父さんの住むシェアハウスで同居を始めた男子高校生が、そこで「恋愛はしない」と言い切る年上のシニカルな女性と知り合うのだが、実は2人の過去には因果な接点があった…というお話。『シェルブールの雨傘』を彷彿とさせるオープニングなど、まずは鮮やかなカラーの美しさが目を引く。随所でシェアハウスという舞台設定を都合よく使い過ぎでは?と思うものの、しかし活き活きとしたセリフと綺麗ごとでない人間描写は魅力的で、物語の核心的な部分に説得力を与えていると言えよう。主演の広瀬すずと大西利空も好演だが、中でも演技とは思えないくらいナチュラルに純情な朴訥少年を演じる大西は逸材。これはキャスティングの勝利ですな。

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くれい響

残念なところも、スピッツが丸く収める

くれい響 評価: ★★★★★ ★★★★★

高校生の主人公が憧れる年上女性かつ、『海街diary』にも通じる複雑な役柄に挑んだ広瀬すず。濃いメイクが若干気になるものの、まずまずの健闘といえるだろう。ただ、何気ない日常から醸し出される原作特有の空気感を求めた結果、テンポの悪さに繋がり、後半にかけては冗長に見えてくる。また、シェアハウスに揃ったいい役者を生かしきれず、群像劇としての面白さに欠けてしまっている。そんな前田哲監督らしい残念さが目立つ中、當真あみの扱いに関してはさすがの一言。そのほか、牛丼・ポテサラな飯テロ要素に、終始可愛いにゃんこ、いい感じにまとめてしまうスピッツの主題歌など、いろいろ助けられている感アリ。

この短評にはネタバレを含んでいます
村松 健太郎

大切な人に出逢うとき

村松 健太郎 評価: ★★★★★ ★★★★★

広瀬すずもこういう”お姉さん”的ポジションを演じるようになったのかと感慨深いものもあります。
変則的なボーイミーツガールであり、年上の女性との淡い想いの物語でもありました。
やりようによっては本当に救いがないくらいまでドロドロなテイストのもにもなりそうですが、そこは流石は前田監督、後味は不思議なほど爽やかな、お天気雨のような映画になりました。
これはひとえに大西利空のピュアさと広瀬すずの懐の深さ故であろうかと思います。周りのキャストも非常に良い仕事していて楽しみました。

この短評にはネタバレを含んでいます
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