ぶぶ漬けどうどす (2025):映画短評
いきなりカルトな魔の映画
冨永昌敬監督×アサダアツシ脚本。濃厚な鬼才タッグが大映映画への愛を軸にえげつない奇作を産み出した。京都をめぐる「こことよそ」の恐ろしい物語。レファランスとしては三隅研次『女系家族』(舞台は大阪)があったらしく、若尾文子の狂気が深川麻衣にひねって転生。変化球・変拍子の冨永タッチもあり、結果的にはグラフィカルな要素も含めて川島雄三『雁の寺』辺りに近いような。
あえて全体を整理するなら、原理主義者と移民をめぐる共同体のねじれたメカニズムを描くホラーコメディといった趣。いけず言葉に着目したキャッチーな企画性など伊丹十三感もある。96分の尺で選択された“ある形式”にも吃驚。クセになる中毒性が満々どす。
この短評にはネタバレを含んでいます


















