私の見た世界 (2025):映画短評
石田えり監督、攻める!
冒頭から「また福田和子か」という既成概念を吹っ飛ばしてくれるに違いない。タイトル通り、カメラが「私」の目線となり私たちに彼女の人生を追体験させる。広く分かりやすさが求められる昨今の日本映画の中で、久々に攻めた映像表現に思わずニヤリ。とりわけ鳥肌モノは、彼女の人生を変えた松山刑務所事件とホステス殺害事件の歪んだ映像だ。憎悪か。抹消したくとも瞼に焼きついて離れない残像か。彼女の奥底に隠していた感情を推測せずにはいられない。この独自の視点で制作された本作は、他者や時代に流されず、己の感性と意志を貫いてきた石田えり監督そのもの。脅威の新人監督に期待。
この短評にはネタバレを含んでいます




















