能登デモクラシー (2025):映画短評
能登デモクラシー (2025)
能登から届いた一筋の光
TV局発ドキュメンタリーの劇場作は、放送に収まりきらなかった映像を加えた再編集版が多いが、本作は趣が異なる。穴水町議会のムラ社会を伝えたテレビ版の、放送後が本題。潮目の変化は監視機能としてのメディアの存在意義を再認識させるが、やはり主人公である手書き新聞で警鐘を鳴らし続けた元教師・滝井元之さんの姿に、”ムラ社会を増長させるもの”に町民が気づいたのではないか。民意が動く様は『映画 ⚪︎月⚪︎日、区長になる女。』を彷彿。そして今、町民参加型の復興計画が進む軌跡は、再開発問題を追った『下北沢で生きる』のごとし。この能登で芽吹いた民主主義は、変わらぬ世を憂う人たちの希望となるに違いない。
この短評にはネタバレを含んでいます