親友かよ (2023):映画短評
親友かよ (2023)
想いが分散するのに、親友の定義どっしりで、いちいち胸を打つ
近年のタイ映画の秀作と同様、予定調和に進まず、かと言って展開が破綻せず、味わったことのない感覚を導く好例。主人公の思いに添いつつ、別のキャラの心情に急カーブしたりするし、唐突なエピソード、過去のフラッシュバックなどかなり自由な構成も、いちいちそこで素直に笑ったり、感動できてしまうのは、基本に「人生に大切な友人とは?」がブレずに据えられているから。
もちろん映画ファンがグッとくるのは、ほぼシロウト集団の映画撮影。手作りするしかない演出、高まるチームワークなど胸アツ要素に加え、ノーランから是枝まで名監督を歌詞にした劇中歌など細部も楽しく、誰のために何を残すかという着地点がまっすぐに心を揺さぶる。
この短評にはネタバレを含んでいます