ブルーボーイ事件 (2025):映画短評
ライター2人の平均評価: 4.5
日本で本当にあった性的マイノリティへの不当な人権弾圧
かつての日本で実際に起きた不当逮捕事件に基づくフィクション。法律が想定していないトランスジェンダー娼婦の取り締まりに頭を悩ませた検察は、性別適合手術を施す医師を逮捕することで彼女らの存在そのもの根絶しようとする。性的マイノリティの多くがなぜ性労働へ流れ着くのか、当時の社会背景を全く無視した権力による紛うことなき人権弾圧ですな。注目すべきは当事者たちも決して一枚岩ではなく、正当な権利を守るために闘わんとする者もいれば、斜に構えて足を引っ張る者や差別を恐れて口を閉ざす者もいる。低予算に起因するような欠点も見受けられるが、しかし弱者に寄り添い向き合わんとする真摯な姿勢に心動かされる良作だ。
昭和の生きづらさが、令和のそれにならないために
“生きづらさ”という言葉が一般的になって久しいが、使われれば使われるほど言葉の意味は軽くなる。そんなことを考えながら、切実なほど生きづらい状況を描く本作を観た。
昭和の実話に基づき、性的マイノリティと社会の軋轢を描く。封建的な考え方に押しつぶされる当事者と、非常識のレッテルを貼る世間。そんな中で、法廷に立ってストレートに生きづらい胸の内を語る主人公の、真っ直ぐなカメラ目線の映像。その力強さに唸らされた。
東京五輪が終わり大阪万博を迎えようとしていた50年以上前の話だが、それだけでも現代とリンクする。封建的な見地が甦ろうとしている今だからこそ、観るべき力作!




















