カーテンコールの灯 (2024):映画短評
ライター2人の平均評価: 4
カメラの裏の人間関係もリアルな感情に貢献
繊細さと誠意にあふれたリアルな人間ドラマ。監督コンビが子供を持つ私生活のカップルで、主人公の親子を演じる3人も実際の家族だということも、貢献したのかも。演劇という芸術が悲しみを癒すという設定はありがちながら、古典劇のストーリーと彼らが現実で直面していることを重ねていく今作は、そこでもほかにない形で突っ込む。美しい恋愛映画とだけとらえていた「ロミオとジュリエット」を、新たな視点から見つめることになるはず。
若い命とはなんと儚いのか。悲しみはいかに深く、それに対して人はどう向き合い、そこからどんな衝突が生まれるのか。そんな深いテーマを探索しつつ、暖かさと希望をも与えてくれる良作。
スター不在の地味なインディーズ映画と侮るなかれ!
アメリカの平凡な田舎町。突然の悲劇に見舞われ、崩壊の危機に瀕した家族。見るからに無骨な肉体労働者の父親が、ひょんなことから地域のアマチュア劇団に参加する。感情を表に出すのは弱い証拠、男たるもの強くなくてはいけない。そんな古い考えに凝り固まった彼は、それゆえ行き場のない感情をひとりで抱えて苦しみ、結果として寄り添うべき妻や娘まで遠ざけてしまう。そんな彼が劇団の仲間たちに助けられ、演劇を通じて自身の感情と向き合うことで救われる。悲しい時は悲しんでいい、弱っているときは誰かを頼っていい。これは救済と癒しの物語であると同時に、有害な男らしさを克服する物語でもある。地味ながらも味わい深い佳作だ。





















