大長編 タローマン 万博大爆発:映画短評
ライター3人の平均評価: 3.7
この長さこそが一番の「でたらめ」
岡本太郎の思想とデザイン、滅びゆく特撮の技術と心を現代に伝える『TAROMAN』が劇場映画に! もともとは5分番組なのに劇場版は105分! 長い! 長く感じる! 『TAROMAN』を劇場映画にすること自体が一番「でたらめ」なような気がする。その情熱と蛮勇を買いたい。70年代特撮のパロディという体裁をとっているため、意外なほどストーリーはまとも。現在開催中の大阪万博とのタイアップに見えるが、2025年の架空の万博の顛末とそこに被さる岡本太郎のメッセージを読むと、IRの前哨戦としての大阪万博へのアンチテーゼに見える。それにしても岡本太郎のデザインは本当に素晴らしい。それだけで一見の価値がある。
デタラメやナンセンスこそ美学。さりげない皮肉も効いている
TV放映時、“おふざけ”で楽しんだので、映画化は「暴挙」と信じたが、「デタラメにはデタラメが有効」のテーマどおり、ナンセンスなネタをあまりにテンポ良く連続させ、つっこむヒマなく強引に夢中にさせる。通常こういうノリは中盤で息切れするのだが、ミュージカル場面、映画フォーマットでの遊びなど手を変え品を変えで最後までノンストップ。
「ウルトラセブン」っぽいアングルや照明、効果音などを筆頭に、大量の昭和ヒーローものへの愛を込めながら、単なるアナログ礼賛、ノスタルジーに陥らず、社会の分断、排外主義、秩序重視&過剰コンプラへの批判を、岡本太郎の魂に絡めたところに感服。もちろん1970年万博を知る人には眼福。
万博の夏、太陽の塔が大暴れ
まさか劇場版を見ることになろうとは。2022年にテレビ放送された「1970年代に放送されていた、岡本太郎のデザインによる特撮ヒーロー番組」という設定のフェイクドラマ「TAROMAN 岡本太郎式特撮活劇」が劇場版に。夏休みに劇場版が作られるのは特撮ドラマとして正しく、実際に万博開催中のこの夏、太陽の塔が大暴れする姿が見られるというタイミングも見事。長編として成立させるためにはやむをえないとは思いつつ、ストーリーにはもっと"でたらめ成分"が欲しい気もするが、ドラマ版同様、岡本太郎作品がモチーフの巨大獣たちの造形がみな楽しく、今回はアクリルスタンドではなく、立体のガシャポン化を希望。






















