蟲 (2018):映画短評
老いてもシュヴァンクマイエルはシュヴァンクマイエル!
チェコの鬼才ヤン・シュヴァンクマイエルの最新長編劇映画。古典的な戯曲『虫の生活』の上演に取り組む素人劇団を主人公に、トラブル続きのリハーサルを通して現実と虚構が交錯していく。第一次世界大戦後のきな臭い欧州社会の空気を昆虫の生態に投影したとされる『虫の生活』。本作にも右傾化する現代社会への風刺が込められていることは想像に難くないが、しかしそこはシュールレアリストたるシュヴァンクマイエル、得意のストップモーションアニメやクレイアニメを随所に盛り込み、さらには監督自身の登場する解説映像や撮影風景の映像まで挿入され、何とも不条理で混沌とした映画となった。老いても実験精神と遊び心を失わないのは立派!
この短評にはネタバレを含んでいます


















