錬金炉アタノール (2020):映画短評
ライター2人の平均評価: 3.5
ありのままのシュヴァンクマイエルがここに!
ヤン・シュヴァンクマイエル自身が「最後の長編劇映画」と呼ぶ『蟲』の日本公開に合わせ、ティム・バートンやテリー・ギリアムにも影響を与えた異才にして鬼才の素顔に迫るドキュメンタリーも日本初上陸。ありがちな生い立ちやキャリアの概略的な説明、堅苦しい作家論などほぼナシ!本人および関係者のインタビューと過去の記録映像、何気ない日常風景や監督作品からの切り抜きを自在にコラージュすることで、ありのままの「人間シュヴァンクマイエル」を活写していく。観客にもプロデューサーにも媚びず、作りたい映画を好きなように撮る。理解できる人だけ見てくれればいい。そんな贅沢の許される監督が、彼以外にどれだけいるだろうか!
シュヴァンクマイエルが別の角度から見えてくる
ヤン・シュヴァンクマイエルについて、いろんなヒントを与えてくれる変則的なドキュメンタリー。彼の映画『蟲』の編集のヤン・ダンヘルと第2カメラマンのアダム・オルハが、シュヴァンクマイエルから彼の創造プロセスを記録をしてほしいと依頼され、作品の断片、メイキング、シュヴァンクマイエルの日常などで構成。彼がここで友人や仕事仲間と語る言葉は、おそらく彼の飾らない本心なのではないか。彼にとって創作とは何か、収集とは何かが、彼の言葉で明かされる。
同時公開される2作、彼の収集物を映し出す『クンストカメラ』、カレル・チャペックと兄ヨゼフの共作戯曲「虫の生活」をモチーフに描く『蟲』と併せて見るのも興味深い。



















