ライフ・イズ・ビューティフル・オッケー (2024):映画短評
タイトル通りの全的な肯定性に満ちている
町中華屋の代理店主、主人公・牧原(田丸大輔)の吸引力が凄い。飄々とした普通のおじさんに見えて、何かでかいことを考えているような風情。彼の周りでは一般の社会的機能からはみ出した人が個々の日常を営んでいる。「君が思ってるより、人は抱えとらんかもしれんよ」とか「救う方法は一つだ、何もするな!」など、牧原の口からは不意に金言がこぼれる。
新鋭・石田忍道監督(88年生)の人に対する距離感が心地良い。語りの品の良さも稀有な美点。そして作品の思想性の結晶体の如き牧原は、駆け込み寺の和尚に見えてくる。これ一本ではもったいない程の人物像。『深夜食堂』ではないが、またあの店に行きたいと願う人はとても多いはずだ。
この短評にはネタバレを含んでいます



















