次元を超える TRANSCENDING DIMENSIONS (2025):映画短評
法螺貝を通して自由になる
2012年の『I’M FLASH!』で松田龍平が演じた殺し屋・新野風が『破壊の日』(20年)を経て再登場。新野を狂言回しとする豊田利晃ユニバースは「狼蘇山」以前から始まっていたのだ。『I’M FLASH!』の主人公はインドの宗教家クリシュナムルティが原像だったが、今作の自己探求の果てに“次元を超える”大宇宙/小宇宙のヴィジョンも、同様の思想体系の延長にあるように思える。
同一存在の天使と悪魔の如き、狼介(窪塚洋介)と阿闍梨(千原ジュニア)の“呪術廻戦”が愉しい。豊田がライブシネマとして試行を重ねてきた映像×音響の実験も遥か何光年もの彼方へと届き、Pファンク的宇宙の様に惑星ケルマンが現出する。
この短評にはネタバレを含んでいます




















