星と月は天の穴 (2025):映画短評
文学と映画の融合といえる仕掛け
同じ純文学の原作モノでも、低予算ノースター映画とは異なる、どことない品の良さがブランド力になった荒井晴彦監督作。妻に捨てられたこじらせ小説家(しかも、総入れ歯!)を綾野剛が演じるだけで、しっかり色気を感じさせてくれるから不思議だ。定番といえるハードな濡れ場も多いが、全編モノクロに赤のパートカラーをアクセントにした絵作りなどから、終盤カオスと化した前作『花腐し』に比べれば、かなり見やすい作りになっている。そして、モノローグと字幕を使った、文学と映画の融合といえる仕掛けも悪くない。2025年公開作らしいリズムやタッチの作品とは言い難いが、それもまた一興である。
この短評にはネタバレを含んでいます




















