クリスマス・イブ・イン・ミラーズ・ポイント (2024):映画短評
ライター2人の平均評価: 4.5
独特すぎるオトナの階段昇るティーンの描写
ノンストップ懐メロの中、4世代の家族がクリスマス・パーティを満喫。あまりに登場人物が多すぎるため、見ようによっては冗長だが、どこかノスタルジーに浸れる。煌びやかな消防車パレード見物を幻想的に捉えたホラー演出から一転。『ハム・オン・ライ』の再来ともいえる駐車場での告白タイムや、ダイナーでの「すべて行事は無意味」発言といったオトナの階段昇るティーンの描写は、タイラー・タオルミーナ監督しか撮れないヤバさ。『スーパーバッド 童貞ウォーズ』ではティーン側だったマイケル・セラが、スピルバーグの息子ソーヤーやスコセッシの娘といった面々を見守る警官役を演じているのも感慨深い。
ホリデー“アンチドラマ”の独創的な才気がきらめく
『ハム・オン・ライ』『ハッパーズ・コメット』の限定公開に続き、タオルミーナ監督(90年生)の傑作がお目見え。撮影はオムネス・フィルムズの盟友、『さよならはスローボールで』の監督カーソン・ランドが担当。米郊外を舞台に失われゆく共同体の場の「集団」に目を向け、複雑なアンサンブルを見せながら点景や断片の連なりを捉えていく特異な語りは両作共通する。
ただし『さよなら~』のリアリズムに対し、タオルミーナの場合は夢の様な幻想性を帯びる。R・ネルソンの63年曲「Fools Rush In」を始め、オールディーズの連打と流麗な映像の融合から連想されるのは、ケネス・アンガーの『スコピオ・ライジング』(!)だ。





















