石炭の値打ち (1977):映画短評
ピストルズ「God Save the Queen」と同じ年に
ケン・ローチ監督を語るうえでBBCテレビ作品の比重は大きく、1977年の本作の劇場公開を心から喜びたい。“一粒で二度美味しい”ではないが、168分で喜劇と悲劇――対照的な二部構成でローチのエッセンスを堪能できる贅沢さだ。描かれるのはサウスヨークシャーの炭鉱労働者たち。皇太子の炭鉱公式訪問の準備に翻弄される群像模様が第一部。方言と俗語がユーモラスに飛び交いつつ、搾取される側の英国人も数多く君主制を支持している現状等も垣間見える。
第二部は採掘作業員が犠牲になる地下爆発事故。安全性より生産性重視の体制に怒りを突き付ける。ローチ×脚本家バリー・ハインズとの協同期が生んだ『ケス』に続く重要作だろう。
この短評にはネタバレを含んでいます



















