ハウス・オブ・ダイナマイト (2025):映画短評
ライター2人の平均評価: 5
さすがビグロー。リアルで考えさせる大傑作スリラー
ディザスター映画、世の終焉を描く映画は山のようにあるが、これほど恐ろしい作品はない。ビグローが「非公式な三部作の最後」と呼ぶ今作は、まるでドキュメンタリーのようにリアル。彼女はじっくりリサーチを重ねただけでなく、現場では多数のカメラを回し、役者に自由に動き回らせて撮影した。わずか18分ほどの出来事を3つの違ったアングルから語っていく展開。ひとつの視点が終わり、別の視点からまた同じ状況が繰り返されることで、観客にはよりよく事情が見えていく。登場人物は実に多数で、少ししか出番のない有名俳優もいるが、限られた中でもそれぞれの人生や感情を表現し、観る者の心を揺さぶる。考えさせる傑作スリラー。
我々は爆薬庫に生きている…という現実に緊張と戦慄が止まらない
ミサイルを迎撃する基地、ホワイトハウス危機管理室などの実際の「裏舞台」は超極秘だろうが、そこを「リアル」だと納得させる本作。出所不明のミサイルに対するアメリカ側の急対応が、文字どおり刻一刻と展開し、しかも極度の緊張感がまったく途切れない演出、登場人物たちの焦りに、こちらの息も止まるほど!
短時間の混乱が、複数のパート、視点に分けて構成されているのだが、「核心」が終盤に露わになるよう、その配分も巧みに計算されている。キーパーソンとなる大統領の描き方に至っては、これこそ映画的醍醐味。
某国のミサイル騒動が身近な日本人こそ、この映画の真の恐怖を実感できるのでは? こういう世界に我々は生きている…と。





















