#拡散 (2026):映画短評
ライター2人の平均評価: 3.5
反ワクに切り込みながら、SNSの本質を問う
SNSの問題を取り上げた作品は珍しくないが、シリアスかつスリリングに、そこに切り込んだ作品という点で強烈な吸引力を持つ。
主人公は“反ワク”運動の英雄に祭り上げられた男。普通人からインフルエンサー、非難の対象へと彼は転がっていくが、それは誰にでも起こりうることだ。静かに生きてきた者が突然、強固な意見を求められたときの、とまどいや勘違い。それがリアルなものとして響く。
どこにでもいそうな人間を体現した成田凌の好演は、物語に説得力をあたえるに十分。ネットという魑魅魍魎を象徴するかのようなラストも印象に残る。ネット社会について深く考えさせられる、力作。
成田凌の不可解さもカギ。さりげなくネット情報社会全体を皮肉る
陰謀論、フェイクニュースなど、ここ数年の社会問題をコロナのワクチンで描くという、かなり「攻めた」映画。そのチャレンジ精神は一見の価値アリだが、全体のムードはそこまで過激ではない。
妻の死がワクチンだと訴え、病院の前に立ち続ける。悲壮なはずの行動も、成田凌が演じる夫の表情はどこか曖昧。そこが引っかかるのだが、中盤から後半にかけ、その演技の意味が見えてくる展開に本作の真髄が。人間の「曖昧さ」とネット上に溢れる情報の「曖昧さ」がリンクしていく感覚。「人は信じたいことだけ信じる」というテーマも、ネットのアルゴリズムを揶揄しているかのよう。
沢尻エリカは久々の映画で、役に誠実な分、思いのほか印象が薄い。






















