道行き (2025):映画短評
さらに洗練され、またしても唯一無二
いま最も「孤高の異才」との呼称が相応しい映画作家、中尾広道。彼の内宇宙の結晶と呼べる『おばけ』に続く最新作は、純度を全く落とさず、同時に未知への知覚の扉を開く。他の何にも似ていない“旅”映画だ。監督の分身的な主人公役を同じPFF出身組でもある渡辺大知に託し、列車や時計といったモチーフを挟んで、生活の場から宇宙のリズムと交信するかの如き映画空間を生成していく。
奈良の御所市が舞台だが、まるで寓話の架空世界のようにモノクロームの中で様々な時間が交差し、不思議に溶け合う。ハワイアン音楽のチルな恍惚と陶酔。無声映画やシュルレアリスムの味わいも。文楽の人間国宝・桐竹勘十郎、学者の細馬宏通ら配役も素敵。
この短評にはネタバレを含んでいます





















