ADVERTISEMENT

アン・リー/はじまりの物語 (2025):映画短評

2026年6月5日公開 137分

アン・リー/はじまりの物語
(C) 2026 Searchlight Pictures. All Rights Reserved

ライター3人の平均評価: ★★★★★ ★★★★★ 3.3

なかざわひでゆき

A・セイフライドが渾身の芝居で描く波乱と試練の生涯

なかざわひでゆき 評価: ★★★★★ ★★★★★

 「多様性の尊重」という概念が生まれる遥か以前より性別や人種の平等を訴え、それゆえ発祥の地イングランドでも新大陸アメリカでも、しばしば理不尽な迫害を受けたキリスト教の宗派・シェイカー教団。これは、その開祖である女性アン・リーの生涯をミュージカル仕立てで描いた歴史ドラマだ。人々にとって生きること自体が大きな試練だった18世紀という時代の、野蛮な荒々しさと素朴な美しさをリアルに描いた35ミリフィルム映像の迫力も然ることながら、もはや「体当たり」としか言いようのないアマンダ・セイフライドの大熱演がまた圧巻!まるで野蛮な時代に逆戻りするような昨今だからこそ、アン・リーの信条には少なからず共感できる。

この短評にはネタバレを含んでいます
猿渡 由紀

勇気ある女性監督と主演女優だからこそできたこと

猿渡 由紀 評価: ★★★★★ ★★★★★

こんな昔に男女平等をうたい、誰をも受け入れるコミュニティを築いた女性のリーダーがいた。米国ですらあまり知られていない、語られるべきその話を、ファストヴォールドと主演のセイフライドは、小綺麗にすることなくあえて生々しく語る。たとえば出産のシーンはとても現実的。だからこそ、後に子どもに悲劇が起きる時、辛さがより胸に迫るのだ。女性監督とエゴのない主演女優のコンビだからこそできたこと。また、この映画のセイフライドはノーメイクで、ボトックスも自主的にやめたとか。彼女が演じるアン・リーには、強さ、脆さ、信念、痛み、悲しみ、希望、すべてがある。これまでのキャリアでもトップクラスの演技かも。

この短評にはネタバレを含んでいます
平沢 薫

音楽と舞踏による悦楽が伝わってくる

平沢 薫 評価: ★★★★★ ★★★★★

 音楽と舞踏による恍惚を体感させる。その旋律と身体の動きは、実際の18世紀のシェーカー教徒の記録を基にしたそう。極端な抑圧下や劣悪な生活環境にある人々が、集まって、声を発し、呼気を吐き、全身で踊り、やがて感覚も意識も変化し、至福に達していく。その陶酔が伝わってくる。映画はその模様を何度も描く。実話に基づいて18世紀の宗教家の生涯を描くが、スクリーンに溢れるものは、その物語の枠内に留まらない。

 監督はノルウェー出身のモナ・ファストヴォールド。ブラディ・コーベット監督のパートナーで、彼の『シークレット・オブ・モンスター』『ポップスター』『ブルータリスト』の脚本に参加、共通する感覚がある。

この短評にはネタバレを含んでいます
ADVERTISEMENT

人気の記事

ADVERTISEMENT

人気の動画

ADVERTISEMENT

最新の映画短評

ADVERTISEMENT