ペリカン・ブルー ~自由への切符~ (2023):映画短評
政治の転換点と、パンクな冒険
1989年、ソ連支配の終焉と共にハンガリー共和国が誕生。鉄のカーテン崩壊後、国境は開いたのに旅の値段は高すぎる──その壁に挑むのが、MTVアニメ『ビーバス&バットヘッド』風に描かれる若者3人組だ。ペリカン社の青いカーボンインクを洗剤で消し、切符を書き換える自由の錬金術。「他人から盗めば罪、国家から盗めば名誉だ」という母の言葉を胸に、偽造チケットは仲間へ広がり、やがて警察の影が忍び寄る。
本作は2014年の当事者インタビューを軸に、スーパー8mmとコダックフィルムで撮影した実写素材をアニメと掛け合わせ90年代の空気を呼び戻す。時代の裂け目を駆け抜けた青春を、異色の形式で鮮烈に刻みつける快作だ。
この短評にはネタバレを含んでいます




















