君の見る世界をなぞる (2025):映画短評
未完成な少年の揺らぎと、ひと夏の世界把握の変容
『パリ20区、僕たちのクラス』等で社会の肌理を描いたローラン・カンテ(24年急逝)が遺した構想を、盟友ロバン・カンピヨが慎ましく受け継いだ。バトンの継承は南仏の光に揺れる16歳の少年エンゾの心を“現実の重さ”へと導く補助線となり、ふたりの作家の視線がひとつの物語に重なる瞬間を美しく生む。
カンピヨの傑作『BPM ビート・パー・ミニット』の官能の熱は控えめに息づき、代わりに世界の残酷さが少年の胸に落ちる。移民、労働、階級、戦争――その断片が、恋や反抗をも内包した“外へ向かう衝動”を形作る。夏の終わりに残るのは、ほろ苦い光や様々な気づきを得た時間の連なりであり、少年が初めて触れた痛みの余韻だ。
この短評にはネタバレを含んでいます





















