隣人たち (2024):映画短評
ライター4人の平均評価: 3.3
“母親の本能”がぶつかり合う濃密なスリラー
原題は“母親の本能”。理想的な家族の在り方が信じられた1950年代のアメリカの片隅で、ふたりの母親の本能が駆け引きを演じる。
片や悪意を疑われ、片や妄想を疑われ、その疑惑のバランスの変化がスリルの肝に。表面的には何事もなかったように振舞い、その裏では疑心暗鬼が生じ、表面的な平和がどんどん崩れていくのが面白い。
何と言っても、せめぎ合いを体現したハサウェイ&チャスティンの演技合戦は圧倒的。よく喋っていた『プラダ2』の後の前者は喋らないぶん気味が悪いし、被害妄想的なことまで口にする後者はサイコな雰囲気をも漂わせる。小品だが“本能対決”の密度の濃さは歯応えあり。
スリラーの懐かしいムードを装い、過剰に走って最後まで飽きない
1960年代アメリカの「絵に描いたような」郊外の暮らし。冒頭しばらく続く幸せな光景に、ひっそりと込められた闇を伝えつつ、問題の悲劇はかなり早い段階で起こるので、そこからは怒涛の展開に身を任せられる。悲劇の内容は、できれば前情報として知らない方がベター。
車やインテリアなどで再現される1960年代アメリカの日常光景は、視覚的には鮮やかも、主人公2人の置かれた状況、心情の「行き場のなさ」とコントラストを形成。時代を超えるテーマの補助となっている。
『ミザリー』や『ゆりかごを揺らす手』など90年代スリラー、ヒッチコック作品を想起させる装いながら、改めて作る意味でエスカレートする描写&流れは必然か。
あえて肩の力を抜けば良かったかも
昼メロにぴったりな、女性ふたりのドラマチックなストーリー。ジャクリーン・ケネディやキム・ノヴァクを意識した衣装やヘアメイク、アメリカ郊外の家が完璧に美しいので、なおさらだ。肩の力を抜き、あえて俗っぽくしたら楽しめるものになったはず。しかし、共にプロデューサーも兼ねるオスカー女優は、まじめに演じ、シリアスな映画にしようとした。そのためとくに後半の展開のリアリティには疑問を感じ、結末は、ショッキングというより後味の悪いものになっている。
今作で監督デビューを果たすドゥルームは、「博士と彼女のセオリー」「MINAMATA-ミナマタ-」などで撮影監督を務めたベテラン。さすがに映像はすばらしい。
主演二人が見事に物語を支える
アン・ハサウェイとジェシカ・チャスティンという頼れる二人が隣同士で暮らし、完璧かつ幸せと思われる母親を演じて見せたサスペンス。序盤の出来過ぎにも思える生活を送る様から、ある出来事から疑念や妄想を抱え合う微妙な距離感が芽生える様まで、グラデーションを利かせた演技は流石の一言です。舞台を60年代のアメリカの中流家庭にしたのも一種の寓話性を持たせる効果が出ていて良いです。主演の二人が完全に五分に組み合えっているので、本当にどっちがどうなっていくかが読み切れず、最後まで緊張感がありました。























