顔 -かお- (2025):映画短評
ライター2人の平均評価: 5
本作が描いているのは過去ではなく現代である
『ガス人間』の脚本・製作総指揮でも話題を集めたヨン・サンホが低予算で作り上げた新作。個人の悲惨な状況を通じて社会の暗部を抉るのが得意なヨン・サンホらしく、小品ながらも観終わった後にズシンと腹に来る。「醜い」「化物」と家族や同僚たちに嘲笑されていた母の死の謎を通して、経済発展に邁進していた時期に横行していた差別、女性嫌悪、ホモソーシャルなどが描かれる。そして、そのような感情は現在まで温存されていることも示されている。現実を見ると、経済成長の時期は過ぎたものの、成果主義はより進み、他人を足蹴にしながら金儲けに邁進する人はさらに増えた。本作が描いているのは過去ではなく現代である。
真の美しさとは? 醜さとは?
インディーズスタイルで製作したとヨン監督が語るとおり、『新感染』シリーズと比べてもソリッドで、言いたいことが明快だ。
キーとなるのは“美醜”。記憶にない母の面影をたどる主人公の追跡体験は、“醜い”“ブサイク”“化け物”など母の容姿への容赦ない物言いにまみれる。逆に主人公の父親である目の不自由な芸術家には、見た目の美へのこだわりが。その狭間に本作のテーマが宿る。
ヨン監督によると、韓国の高度経済成長時代の犠牲にしてきたものを浮き彫りにしたとのこと。好景気に浮かれ、真の醜さに気づけない社会には罪がある。関係ないが、“ドブネズミみたいに美しくなりたい”という歌の一節がふと頭をよぎった。






















