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2012年、亡くなった偉大な映画監督たちをしのぶ

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映画『一枚のハガキ』より
映画『一枚のハガキ』より - (C)2011「一枚のハガキ」近代映画協会/渡辺商事/プランダス

 映画ファンにとって監督や俳優の訃報は、「新作がもう観られなくなるのか……」と寂しいものだが、今年2012年もそんな偉大な監督たちが亡くなった。

映画『一枚のハガキ』ギャラリー

 日本最高齢の映画監督、新藤兼人が100歳でこの世を去ったのは5月。新藤監督は社会や人間をその鋭い観察眼で表現し、乙羽信子を主演に映画『裸の島』『鬼婆』といった作品で評価を高めた。また、監督としてだけではなく、脚本家としても多数の作品を手掛け、『お嬢さん乾杯!』『しとやかな獣』など名だたる巨匠たちの作品群にその名を残した。遺作は、自身の戦争体験を基にした『一枚のハガキ』。持ち前の痛烈さで戦争を批判するとともに、ひょうひょうとした円熟味を感じさせる、新藤監督でしかなし得ない作品となった。

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 また、日本のインディペンデント映画界で唯一無二の存在だった若松孝二監督は、交通事故で帰らぬ人となった。『新宿マッド』『水のないプール』などは、カルト的人気を超えて評価された。若松監督は独自の道を歩み続け、この数年も『実録・連合赤軍 あさま山荘への道程(みち)』『キャタピラー』といった作品を発表。2013年3月には、遺作となった中上健次原作の『千年の愉楽』が公開される。

 ハリウッドでは、トニー・スコット監督の突然の死に衝撃が走った。『トップガン』『スパイ・ゲーム』『アンストッパブル』など硬派かつ娯楽性あふれる作風が受け、世界的ヒットメーカーとして活躍。最近では、兄のリドリー・スコット監督と製作したテレビドラマ「NUMB3RS ナンバーズ ~天才数学者の事件ファイル」も好評だっただけに、自ら命を絶ったということが悔やまれる。

 他にも2012年に永眠した映画監督には、テオ・アンゲロプロスノーラ・エフロンメル・スチュアートクロード・ミレールなどがおり、それぞれ国際映画祭で高い評価を受けるなど、世界中で愛された監督なだけに、新たな作品が観られなくなることは非常に残念だ。

 日本最高齢の監督として生涯現役を貫いた新藤監督、常に独自の姿勢を通し続けた若松監督、数多くの娯楽作で世界中の人々を魅了したトニー・スコット監督の作品は、これからも後進の映画人たちに多大な影響を与え続けるだろう。(文:岩永めぐみ)

映画『一枚のハガキ』は12月26日(水)午後5:00よりWOWOWシネマで放送

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