山崎貴監督『ゴジラ-0.0』に少年時代の自分へのメッセージ「観たかったのはこれだろ?」

『ゴジラ-0.0』撮影中の山崎貴監督
『ゴジラ-0.0』撮影中の山崎貴監督 - (C) 2026 TOHO

 第96回アカデミー賞で視覚効果賞に輝いた『ゴジラ-1.0』の山崎貴監督最新作『ゴジラ-0.0』(全国公開中)。公開を間近に控えた山崎監督が、キングギドラの起用や日本初となる「Filmed for IMAX」規格の採用について語った。(ネタバレ注意。以下、映画の内容に一部触れています)(取材・文:神武団四郎)

『ゴジラ-0.0』神木隆之介&浜辺美波がゴジラポーズ!撮り下ろしカット

 2023年に公開され、国内外で大ヒットした『ゴジラ-1.0』の2年後を描いた本作。その製作が決定したのは『ゴジラ-1.0』の公開初日だった。「最初の関係者試写(2023年5月末)の反応がとても良く、続きを観たいという声をたくさんいただいたので検討を始めました。最初のプロットを提出したのは、それから1か月後くらい。正式に続編製作が決定したのは映画の公開初日でした」

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 戦後復興期の日本を襲ったゴジラが再び姿を現す今作には、ゴジラに加えてキングギドラも登場する。山崎監督は「敵怪獣を出して、今まで見たことがないような怪獣同士の死闘を作りたかったんです」とふり返る。キングギドラは『三大怪獣 地球最大の決戦』(1964)でデビュー以来、何度もゴジラと死闘を演じてきた最大のライバル。ハリウッド版『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』(2019)でもし烈なバトルを繰り広げた。かつてアトラクション映像「ゴジラ・ザ・ライド 大怪獣頂上決戦」でもゴジラVSキングギドラを映像化した山崎監督は、キングギドラの大ファンでもある。「僕は1964年の辰年生まれで、キングギドラの映画デビューと同じ年。それもあって親しみがありますし、首が3つもあるところも大好きでした」

 今作への起用については、大好きな怪獣であるだけでなくリベンジの思いもあったという。「僕は松本出身ですが、小学校3、4年生の頃に地元で『地球最大の決戦』がリバイバル上映されたんです。ポスターの下に『キングギドラ松本に来襲!』と書かれていてめちゃくちゃ楽しみにして観に行ったら、キングギドラは松本城の上空を飛び去るだけ。瓦が落ちる程度だったので、がっかりしました。敵怪獣は何にしようか考えた時、キングギドラにすれば当時の自分に『観たかったのは、これだろ?』といえる映画が作れるなと思って。敵討ちみたいな気持ちで選びました(笑)」

人類は、ゴジラだけでなくキングギドラの脅威にもさらされることに(C) 2026 TOHO

 『地球最大の決戦』を含めキングギドラ出演作は、ゴジラのほかラドンやモスラなど複数の怪獣たちが激しく戦う作品が中心だった。しかし今作に登場するのはゴジラとキングギドラのみ。山崎監督は2匹以外の怪獣を出すことは考えなかったという。「マイナス世界はゴジラだけでいっぱいいっぱいなので、キングギドラまで出したらリアリティラインを保つのも困難です。人間が介入しない怪獣メインの映画にしたくなかったので、企画のスタート時からゴジラと人類、敵怪獣の三つ巴を想定していました」

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 今作のもうひとつのトピックがラージフォーマット、IMAXの採用だ。これまでIMAXにコンバートした作品はあったが、IMAXフォーマットに準じて制作された「Filmed for IMAX」作品は日本初。映画はシネスコ(アスペクト比2.39:1)をベースに、スペクタクルなど見せ場になると画面が縦に広がり1.43:1や1.90:1になる。「フルIMAXは憧れのフォーマットで、一度はやってみたいと思っていました。でも撮影すれば完了する実写と違い、VFXはフレームが広がった分だけ情報量が増えるためすごくリスクが大きいんです。実は前作でもIMAXにする案があったんですが、手を出せませんでした」と明かす。

 その気持ちが変わったのが、前作のプロモーションで渡米した時のこと。IMAXの本社を訪問した時に観た『インターステラー』のIMAXのクリップに圧倒されたという。「狭い宇宙船から外に出ると、フルサイズのIMAXに切り替わりスクリーンいっぱいに宇宙が広がったんです。その没入感は最高でした。今作は没入感をテーマのひとつにしていて、IMAXだけでなくワンシーンワンカットや目まぐるしく変わるカメラワークなど、没入感を高めるための仕掛けをいくつも入れました。最高の没入感を感じてもらえると思います」

 IMAX仕様の今作だが、IMAXシアターは限られているため、多くの映画館ではシネスコ版での上映になる。スクリーンサイズは固定されるが、横に長いシネスコ版はより映画的に感じたという。「IMAX版を観た後にシネスコ版を観ると、いかにも映画らしい画角だなと感じます」と山崎監督。同じシネスコでも、プレミアム・ラージ・フォーマットの Dolby Cinema ではまた違った怖さが味わえるという。

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 「真っ暗な画面の中でサイレンの音に続いて人々が逃げる足音や絶叫が聞こえるシーンがあるんです。ドルビーシネマと言えばグレーがかっていない『本当の黒』が売りですが、真っ暗で何も見えない中、悲鳴や絶叫だけが聞こえるとすごく怖い。Dolby Cinema ならではの本物の黒が活かされています。ドルビーシネマでも味わってほしいですね」

 これまでもスクリーンでの映画体験を大切に作品作りをしてきた山崎監督。Filmed for IMAXになった今作は山崎映画の集大成といえる。「没入感を含め、体験できる映画を目指しました。劇場でしか味わえない映画になったと思うので、ぜひ体験してほしいですね」

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