映画を"体験"する元祖シネコン!進化し続ける大森の名画座とは!

ラジカル鈴木の味わい名画座探訪記

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 東京と横浜、品川と川崎、そして“2大味わい深い町”大井町と蒲田に挟まれ、イイ街でないワケがない、それでもなかなか降りないのが大森駅だった。最近は酒場を探訪しにも行くけど、長年、唯一の用事がキネカ大森だけでした。

■今月の名画座「キネカ大森」

キネカ

 西友大森店、駅のロータリーを挟んでほぼ正面という絶好の立地、エレベーターで5階に出ると左に3館を擁するキネカのカウンター。どの館に通されるか来場するまでわからない場合もあり、ちょっとドキドキ。上映時間まで、ロビーにある閲覧自由の沢山のパンフレットやプレスシート、キネマ旬報のバックナンバーを読んで待つ。キネ旬は1979年という古いのから最近のまで揃い、充実。ポップコーンと、懐かしい瓶のコーラのセット450円はいつも必ず買う必須アイテム。

 バブルが華やかな1984年、日本初のシネコンとしてオープン。当時まだ埼玉の学生で行けなかったけど、話題は伝わってきた。同時期には系列のシネセゾン渋谷、シネ・ヴィヴァン・六本木も出来たが、共にだいぶ前になくなってしまった。キネカだけ、よく今日まで生き残ったものだ。

 最初はオシャレ路線で、当時の雑誌を見ると「日本で一番美しい映画館を目指し、作品は芸術系、主婦層を意識して一流ホテル並みの化粧室、座席は豪華なセミ・ハイバックチェア、同じフロアにはお洒落なカフェバー、レストラン有り」とある。確かに1980年代のチラシを見ると、キラ星のごときアート系の作品郡に圧倒される。こけら落としは1がロミー・シュナイダーの遺作・仏/西独合作の『サン・スーシの女』(いい女をテーマとした渋いヨーロッパ映画のロードショー)、2が『家族ゲーム』(この時点でちょっと前の話題の邦画)、3が『大人の見る絵本 生れてはみたけれど』(昔の日本映画)。一般的な映画好き、子供連れ、コアな映画ファン向けと絶妙なチョイス、なんという守備範囲!

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■名画座宣言、さらなる進化

キネカ
『ラスト、コーション』トニー・レオン、タン・ウェイ 監督:アン・リー 2007年

 その後、1993年から東京テアトルに経営が変わり、アニメや怪獣映画等も取り入れ、方向性は変わる。1998年からはアジア映画専門館へと変貌。韓流ブームのだいぶ前、他では観られないディープでマニアックな作品がかかっていて、まさにワンアンドオンリーの劇場だった。

 そして2010年“名画座宣言”。ロードショー作品の他、名画を2本立てで1~1週間上映。支配人、営業、編成が40代、30代、20代の女性スタッフに変わり、それぞれの世代をフォロー。3館あるので、2本立ても1本でも自由に組める。よほどの映画ファンしか知らない作品もかかり、2本立てのセンスは地味ながら本当に素晴らしい。その路線とノウハウを受け継ぎつつ、現在の支配人小島英伸さんと編成担当の男性の2名に変わったのが2013年。

■支配人・小島英伸さんに訊く!

 2000年にアルバイトで入り、営業を経て支配人に。一度他劇場へ異動をするが、2013年にキネカか大森へ戻る。もともとはフランス、ヨーロッパ映画が好きだが、もう一名の編成が日本映画好きなので、バランスは丁度良いのだそうだ。

 「新しくし過ぎないようにローカルなカラーはキープしています。いまだ全自由席だし、飲食もOKです。最近は他にもシネコンが沢山あり、同じことをやっていてもキビしいので、うちは新旧なんでもかけて“映画”そのものに触れられる場所にしようと。昨年1年で80本(!)のイベントをやっているのですが、新しい試みとして、映画の観方を根本から変える、お客さん参加型の企画を多数開催しています」。

■クラッカー、紙吹雪もOK!?映画館の常識を破る

キネカ
パンフレット・プレスコーナー。自由に閲覧できる。

 ゲストを招いてのトークショウ等はもちろん、映画と別のものをコラボした企画を実施。例えば“絶叫爆裂上映”は、コスプレで鑑賞、上映中の応援、かけ声、ツッコミ、さらにはクラッカー、紙吹雪もOK! なんですって!! 場内は文字通りカオスになるのだそう。「ただ、やってはいけないことやルールも前説でしっかりお伝えします。お客様には終映後、お片付け、お掃除もしかっりやっていただいて、帰ってもらいます(笑)」

 また、映画2本と漫才のライブや恋活のイベント(!)“シネマDE出逢え場”も好評で、累計20組のカップルが誕生してるのだそうだ、これも画期的!

 スタッフや、お客様の声を大切にし、ロビーに設置したリクエストボードには“あなたの2本立て企画、募集!”と題してリクエストカードがびっしり。賛同したい企画にはそこにシールを貼ることができる。Twitter、Facebookなどでもどしどし意見、アイデアを募集、鑑賞前から積極的に参加することが出来る映画館なのだ。

 「こんなイベントや特集がしたい、と企画書を本社に上げますが、最初の頃はあまり喜ばれなかったですね(笑)、なんなのソレ? と。何度も企画書を作り直したりして、説得に時間がかかりました。今はだいぶ通りやすくなってきていますが」。この3~4年でいろんなヘンなことをやり続け、お陰様で「今度はこういう企画、やって!」とか「こういうの、やらないの~~?」と様々なリクエストを頂くようになった。「そういうことをやる劇場だって、定着しつつあります。常に新しいことにチャレンジして、お客様がビックリすることを続けたいですね」。

■超ロングランヒット作の発端は、ここから

 また、昨年から今年にかけて、いまだ超ロングランヒット中の『この世界の片隅に』の制作発表とクラウドファウンディング実施片渕須直監督が初めて発表したのが、なんとこちらなのだ。「監督がトークショウをされたときに、初めてこの企画を話されたんですね」。そうだったんだー、またそののち監督は『マイマイ新子と千年の魔法』と「名探偵ホームズ」の上映のとき、2時間にも及ぶトークショウを開催したのだとか。上映と併せて6時間、これも常識破り!

 この秋には、歴代のウルトラマンを網羅した特集上映を円谷プロと企画。2本の柱があり、“大人のためのウルトラマン”はキャストやスタッフを呼び、オールドファンを喜ばせる。“子供のためのウルトラマン”は、実際に映写室やカウンターで映画館の仕事を体験してもらうワークッショップを予定しているそう、これは親子で楽しめそう!

■“自分の名画”を見つけてほしい

 「私が支配人になる前は、名画のお客さんの年齢層は、やはりシニアの方中心でした。しかし2本立てでもアニメや、スパイ映画をチョイスしたりして、若い人向けのプログラムもやっていくうちに、古いものも観に来る人も増え、明らかに客層が変わりました。やはり一度足を運んでいただくことが大事で、以降気安く来られるようになるんですね」と小島さん。「映画としてちゃんと作られたものを観せ、直後に監督の話を聴いてもらい、表面だけでなく奥も知ってもらう。それから、ここで仲間ができたり、キネカは面白い所だって身体で体験して頂きたいんです」。

 “名画”についてお聞きすると、「人は皆それぞれ違うので、その人その人の名画があると思うんですね。皆さんの“自分の名画”を見つけていただきたいなと思います」とのお答え、激同!!! しました。

 おそらく近隣や地元の人が圧倒的に多い大森の街。「私は川崎出身なんですけど、ここは同じ匂いがして、新しいものもどんどん出来るけど、まだまだ昭和も残っていて、親しみ易い。そんな街のそんな劇場だと良いと思っています」と小島さん。今後も幾多の試練があるかもしれませんが、末永く頑張って欲しいと切に願います。

 取材と映画鑑賞が終った後、最近お気に入りの安酒場で一杯。大森では黙っていても、フツーに三冷ホッピーが出てくるんだなあ。帰ってきた、と感じる街なんです。

■映画館情報

キネカ大森

住所:東京都品川区南大井6-27-25 西友大森店5階
TEL:03-3762-6000
座席:キネカ1 134席/キネカ2 69席/キネカ3 40席
音響: SR・DS
URL:http://www.ttcg.jp/cineka_omori/

ラジカル鈴木 プロフィール

イラストレーター。映画好きが高じて、絵つきのコラム執筆を複数媒体で続けている。

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