実写キャスト、どう思ってる?「鋼の錬金術師」原作者・荒川弘インタビュー

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(C) 2017 荒川弘/SQUARE ENIX (C) 2017映画「鋼の錬金術師」製作委員会

 世界的ヒット漫画「鋼の錬金術師」を実写化した映画『鋼の錬金術師』について、原作者の声を実際に聞いてみたい! 手を合わせる錬金ポーズの“モデル”の話も聞いてみたい! ということで原作者の荒川弘先生にうかがいました。

■先生!実写化に対して、どのようなスタンスだったんです!?

Q:早速ですが原作の巻末漫画には「もし実写化したら……」のキャストが描かれていらっしゃいましたが、そのころからすでに先生にはハガレン実写化の未来は見えていらっしゃったのですか?

 当時は仕事場のみんなで冗談めかしつつという感じでした(笑)。10年前から漫画の実写化はたびたび見られていたので。

Q:そして今回実写化のオファーがきましたが、実際にお話を受けてどのように思われましたか?

 「実写きた!」という思いと「また新しいものが見られる」という気持ちがありました。単純にうれしかったです。

Q:実写映画の製作に先生はどれほど携わられたのでしょうか?

 完結した27巻分の原作があるので、そこからお好きに使ってくださいという感じでしたね。監督が原作を最後まで見て、作りたいと思ってくださっていたので。あまりこちらから提供するものはなかったですね。

 監督は前から作りたいと仰っていたみたいで。ただCGがまだ追いつかないので、おさえてくださっていたそうで。何年か後に、再びスクウェア・エニックスさんにお話を持ってきていただいて、それで映画化が進んでいったという感じでした。最初に監督が曽利文彦さんとお聞きした時には、『ピンポン』などでCGがうまい監督だとおうかがいしていたので、すぐ「OKです」となりましたね。

Q:では反対に監督から原作に関する質問を受けることは?

 特になかったとは思いますね。27巻分完結したものを監督は読み込んで、そこから凝縮した2時間の脚本を作り上げてくださって。わたしはそれを読んで、語尾や一人称の直しだけをお願いする感じでした。何回か脚本のブラッシュアップはされていましたが、わたしからは本当に軽い直しだけでしたね。映画には映画の作り方があると、わたしは思っているので。

Q:映画『ハガレン』に関しては映画チームの方針にお任せされたということですね。

 そうですね。実写というのはある意味チャレンジですよね。わたしはチャレンジする方が好きなので、新しいものに挑戦する監督に、声を掛けていただけたというのはうれしかったですよね。

Q:映画は良きチャレンジとなりましたが、原作ファンの中には実写化で今までのイメージが壊れるという方もいらっしゃいます。

 イメージといっても原作は原作で完結しているので、壊しようのないイメージがすでに皆さんの心に出来上がっていると思うんですよね。それはもう壊れないと思うんです。

 原作ファンやアニメファンのお話は以前にもうかがっており、アニメファンの方は釘宮理恵さんや朴路美さんの声が染みついていらっしゃるんだろうなと思うのですが、そのイメージはそのイメージのままで、ガッツリ固まってゆるぎないものになっていると思います。それは誇ってもよいことだと思いますし、皆さんにとっての宝物だと思います。だから実写は実写で新しいものをやっているなと観ていただければな、と思いますね。

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■先生!実際、実写キャストどうでしょう?

実写キャストが集まったポスタービジュアル - (C) 2017 荒川弘/SQUARE ENIX (C) 2017映画「鋼の錬金術師」製作委員会

Q:映画をご覧になられてどのように思われましたか?

 原作のおいしいところを凝縮し、膨らませるところは膨らませ、2時間13分に収めるために、ちょこちょこと変えてある。そのちょこちょこが「お! こう来たか!」という面白さがありました。個人的に大泉洋さんが好きなので、しゃべりとかあの辺の所を膨らませていただいて面白かったです。映画では兄弟愛にフィーチャーされているので、そこも見どころです。

Q:主演の山田涼介さんはいかがでしたか?

 アクション関係は心配しないで観ていましたね。むしろケガされていないかが心配で(笑)。漫画のようなコミカルな走り方も再現されていて、リアルと漫画の中間点をずっと思考されて取り組まれていたようで。監督からの指示ももちろんあったようですが、走っている姿もカッコよく走るんじゃなくて、漫画のエドっぽかったです。

 実はジャニーズの活動を拝見するよりも、山田さんは「金田一少年の事件簿」『グラスホッパー』の印象が強くて。『グラスホッパー』のすごい殺し屋の人だ! みたいな。おいっこは彼の熱烈なファンだったので、撮影現場で会話したことを話すと「え、今間接的に山田くんとしゃべっているの!?」とのたうち回っていました(笑)。撮影見学時には、漫画とは違う現場が見られたことで刺激をいただきましたね。

Q:ヒロイン役の本田翼さんはいかがでしたか? 原作ファンなだけにキャラクタービジュアル発表時にはプレッシャーでいっぱいの様子でしたが……。

 逆にわたしは配役が決まった時に、ガッツリ金髪などに寄せなくてもいいですよと、監督にお話をしていたんです。それで今回の明るい茶髪のビジュアルになったのですが、SLのシーンですごくマッチしているんですよね。色を落として全体的に暗めにしていたので、反対に金髪にしなくてよかったと思いましたね。

 キャラクターは外見ではなくて中身だということは、作品を通して描いていることですし、“キャラクター”がしっかりできていれば、わたしは全然気にしていないので。本田さんご自身もざっくりした部分があるので、ウィンリィのざっくりした部分と重なっていてよかったですよね。

ウィンリィ(本田翼)とアル - (C) 2017 荒川弘/SQUARE ENIX (C) 2017映画「鋼の錬金術師」製作委員会

Q:そしてディーン・フジオカさんのマスタング大佐はいかがでしたか?

 かっこよすぎでしょ(笑)。

Q:(笑)。原作ファンとしては、ノーミッチー版マスタング大佐のご感想をどうしても先生にお聞きしたかったんです。(以前巻末漫画の実写版キャスト話で及川光博が候補に上がっていた)

 ミッチーだったらもっと軽やかになっちゃう(笑)。踊り出しそうになっちゃう。この脚本には、やっぱりディーンさんだなという感じですよね。今回の大佐はあんまりコメディー感がないというか、すごいカッコよくてかっちりしているので。明るいキャラはヒューズさんが担当しているから、公園での二人の会話シーンはとてもいい感じになっていますよね。かっこよくてふわふわしていない、映画の大佐です。

Q:全く無能ではない大佐ですね。

 全く無能ではないです。デキる男でした(笑)。部下に足払いされない感じですよね(笑)。

全く無能ではない大佐 - (C) 2017 荒川弘/SQUARE ENIX (C) 2017映画「鋼の錬金術師」製作委員会

Q:アルの鎧はいかがでしたか?

 スゴイ綺麗ですよね。アニメや漫画よりもシュッとしていて、より西洋鎧っぽい。最初CG技術の発達の例として監督が見せてくれたのが、アルの鎧だったんです。照り返しとかもすごくて、これ本当に中に人が入っていないですか!? という驚きもあって。ちょっと感動しましたね。

Q:今回映画で取り上げられたエピソードで気になったシーンはありますか?

 う~ん、タッカーのシーンは胸糞悪いシーンですからね。でもいいシーンでもあるんですよね。続編があるといいな……。

■先生!連載中のアノ話、コノ話を聞かせてください!

Q:先生関連では昔から『スター・ウォーズ』話が随所にあったので、きっとお好きなんだろうなと思っていました。

 姉の影響です(笑)。姉の刷り込みで英才教育されました。『スター・ウォーズ』は毎年劇場で観ています。『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』も面白かったですよね。

Q:連載中はかなりお忙しいと思うのですが、そのときも映画を?

 仕事場で流しながら観ていますね。でもやっぱり面白い映画って、わたしも見ちゃうし、アシスタントさんも見ちゃうし、仕事にならないというのは結構あります(笑)。だから日本語吹き替えしか見られないんですよね。

Q:「ハガレン」はセリフの強さも魅力的ですが、セリフを考える上で参考にした作品はありますか?

 けれんみだったり、言い切りとかは映画だったりすると思うのですが……、あえて強い言葉を使って、読者さんの心にひっかけるとかは意識してやっていましたね。

Q:連載中にご出産されていたことがわかった当時は非常にファンとしてもびっくりしましたが、出産が作品に影響を与えたことはありましたか?

 自分は畜産農家生まれなので、「こうきて、こうなる」と出産の順序が理解していたので、自分の子供が生まれた時には「お疲れさん!」って言っちゃったくらいなんですよね(笑)。運がよいことにつわりとかもなく、貧血はありましたがおかげさまで体調がよかったので。自宅だったので、おなかが張ってきてもすぐに休めるという環境で仕事をしながら、生活の延長線上でという感じでした。

Q:ハガレンでは命の誕生や戦争による死なども描かれ、キャラクターたちのさまざまな死生観や倫理観を表現されていますが、先生の観点はどのようにしてはぐくまれたのでしょうか?

 死生観でいうと、死ぬということはいつもどこか頭の片隅にあるんですよね。クマが出る地域だったので。どこから出てくるかわからない。だから都会に住んでいると「クマがいなくていいな」とリミッターが解除されますよね(笑)。山だとどこかでいつ死ぬかわからないというのは常に張っていたので(笑)。死はいつでもそばにあるということはありましたね。畜産農家だったので、教えられないまでも親たちの態度によって命は無駄にしてはいけないという思いはありました。倫理観などは時代や個人によって変わると思いますが、わたしの20代後半の時に出来上がったのが「鋼の錬金術師」だったんです。

Q:最後にどうしてもうかがいたいことがありまして、エドの手を合わせる錬金術のポーズはどこから生まれてきたのでしょうか。自分の中では「いただきます」が有力候補なのですが……。

 (登場キャラクターの)リンが言う「神様の祈りみたいじゃないか」という言葉は、話の流れの中で、キャラクターと一緒のタイミングで自分も気付いて入れた言葉だったんですよね。うーん……「いただきます」かな(笑)? 基はいただきますかもしれないですね。「円の力で循環させる」という前提はあったので、体の中で円を循環させると考えた時に手を合わせるのが一番楽かなとは思ってあのポーズに至った感じです。

取材・文:編集部・井本早紀

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