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夢はろう映画祭がなくなること!~映画界のバリアフリーって?(2/4)

映画で何ができるのか

映画祭が聴者とろう者を結ぶ

CINEDEAFのスタッフ
牧原さんが感銘を受けたCINEDEAFのスタッフたちと。2017年にもローマに赴いた。(写真:東京国際ろう映画祭)

今井:他にもろう映画祭は多数あり、世界で20か所以上で行われています。日本でも京都のさがの映像祭がありますが、国際映画祭として始めたのはTDFが初となります。

ルカ:ろう映画祭が増えたことは大変うれしく思います。しかし映画祭を行うだけではなく、製作支援も同時に行っていかなければなりません。というのも、わたしたちの映画祭では当初、例年開催を検討していましたが、質の良い作品が集まらなかったので隔年になりました。そうでなければ映画祭を開くことはできませんし、多くの人にろう映画を知ってもらうという目的が果たせません。何より、良作を作らなければ、ろう映画はいつまで経ってもマイノリティーのままだと思います。

マイケル:わたしも、まず質の良い映画を作ることが重要だと考えています。それが理想です。特に聴者は、ろう者の映画を通して、歴史やさまざまな知識を得ることになります。そこに親和性が生まれるわけです。

牧原:日本の場合は2020年にパラリンピックがあり、それに向けて日本中が燃えています。おかげでスポーツや芸術に対して、かなり潤沢に公的機関の予算も注がれています。それがわれわれにとっても都合が良かったと言いますか、2017年にTDFを立ち上げることができました。同時に皆さんのろう者に向ける関心も高まったと感じています。オリンピック・パラリンピック効果とでも言いましょうか。「ダイバーシティ(多様性)とは何か?」ということを皆が考えるようになりました。TDFの第1回と第2回を比べても、聴者の観客が増えたと思います。

そもそもわたしがTDFを始めたのは、個人的な経験に起因します。2012年に、旅先のローマで偶然CINEDEAFに参加しまして、非常に感銘を受けました。日本にもろう映画祭があるのは知ってましたが、海外で体験すると、また違う発見があるものです。海外でもろう映画祭が行われているのだという驚き。そして鑑賞しながら、自分の人生に作品を重ね、自分の中にも同じようにろう文化があることを再認識する良い機会となりました。

そこには聴者も参加していました。スポーツもパラリンピックとデフリンピック(ろう者のオリンピック)と分かれていますが、日本だと特に、聴者とろう者をどのように結びつけたら良いのかは常に課題となっていました。しかし映画祭というのは、ろう者・聴者問わず映画好きが集まってきます。これは素晴らしい! 両者を結びつけるのに最適な場所になると思いました。

>次ページは「課題は人材育成と製作費の捻出」

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