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シネマトゥデイが選ぶ映画ベスト20(2020年版)

シネマトゥデイが選ぶ映画ベスト20
(C) 2019 CJ ENM CORPORATION, BARUNSON E&A ALL RIGHTS RESERVED, Fox Searchlight Pictures / Photofest / ゲッティ イメージズ, (C) 2020 Warner Bros Entertainment Inc. All Rights Reserved, (C) 2020 Midnight Swan Film Partners

 2020年1月1日からの1年間に劇場、そしてストリーミングサービスで日本初公開された全ての映画から、シネマトゥデイ編集部がベスト20作品を決定! ストーリー、キャスト、演技、映像、社会性、エンターテインメント性、観客動員数、話題性などあらゆるポイントを踏まえて議論し、今年を代表する20作品を選び出しました。

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第1位『パラサイト 半地下の家族』

 韓国コンテンツがクオリティーの高さを見せつけた2020年、その先陣を切って歴史的快挙を成し遂げたこの作品。半地下に住む貧しい家族が、豪邸で暮らす裕福な一家に雇われることで忍び込み、“寄生”していく。昨年のカンヌ国際映画祭パルムドールに始まり、アジア単独映画として史上初の米アカデミー賞作品賞を受賞。格差社会というシリアスなテーマを描きながらも、笑いとスリルをちりばめたエンタメ作品として抜群の面白さ、次々と展開される予想のつかないポン・ジュノ監督のストーリーテリングに世界中が脱帽。文句なしの1位! 作品情報はコチラ>>

第2位『1917 命をかけた伝令』

 第1次世界大戦の最中にあった1917年、二人のイギリス軍兵士が重要な任務に挑む姿を描いた戦争ドラマ。『アメリカン・ビューティー』などのサム・メンデスが監督した本作の見どころは、何と言っても疑似的な全編ワンカットで展開される圧倒的な没入感。激化する戦火を駆け抜けて伝令を届けるという最小限のシチュエーションを用意した上で、緻密に計算されたカメラワークで兵士の体験を臨場感たっぷりに映し出す。革新的な技術が生み出した映像表現は映画史に記録されることになるはずだ。作品情報はコチラ>>

第3位『ジョジョ・ラビット』

 第2次世界大戦時のドイツを舞台に、反ヘイトを高らかにうたった風刺劇。シリアスな題材を扱いながらも、ナチスに教化された少年ジョジョの空想上の友達として“間抜けなヒトラー”を登場させるなど、笑いと胸を打つドラマの塩梅はタイカ・ワイティティ監督にしか成し得なかったと思えるほど絶妙で、アカデミー賞脚色賞受賞もうなずける。カメラは子供の目の高さから生と死を残酷なまでに鮮やかに捉え、サウンドトラックは歌詞や曲が象徴するものまでシーンにぴったり。現代社会への警鐘でありつつ、人間への深い愛にも満ちている。作品情報はコチラ>>

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第4位『TENET テネット』

 クリストファー・ノーラン監督が「時間の逆行」という独自のギミックを導入した斬新なサスペンスアクション。スパイ映画の要素をふんだんにちりばめながら、人類の存亡をかけた任務に挑むエージェントたちの活躍がIMAXカメラで捉えられた怒涛のスペクタクルで描かれる。観客は、エンタメに徹した演出に貫かれたジェットコースターのような物語展開に没入させられるとともに、自ずと謎解きの快楽に導かれていく。圧巻の映像表現とストーリーテリングが驚くほどのクオリティーで絡み合い、今年を代表する傑作になっている。作品情報はコチラ>>

第5位『劇場版 ヴァイオレット・エヴァーガーデン』

劇場版 ヴァイオレット・エヴァーガーデン
(C) 暁佳奈・京都アニメーション/ヴァイオレット・エヴァーガーデン製作委員会

 元少女兵ヴァイオレットの成長を描く人気アニメの完全新作劇場版。ヴァイオレットは、大切な人である上官ギルベルトが最後に告げた「愛してる」という言葉の意味を理解するため代筆業に就き、人の思いに寄りそいながら生きている。沈黙や表情を映さないカットを効果的に挿入した繊細で豊かな表現が、人間の複雑な感情を描く物語にマッチ。その表現を可能にした美しい映像は、実写と見まがいそうなレベルだ。シリーズの続編という位置づけではあるものの、本作単体で楽しめるよう配慮された構成も見事。事件の傷が癒えないなか、これだけの作品を完成させた京都アニメーションに拍手を送りたい。作品情報はコチラ>>

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第6位『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』

劇場版「鬼滅の刃」無限列車編
(C) 吾峠呼世晴/集英社・アニプレックス・ufotable

 吾峠呼世晴の人気漫画を原作にしたテレビアニメの劇場版。主人公・竈門炭治郎が、鬼殺隊の仲間たちと共に、闇を進む列車を舞台に戦いを繰り広げる。アニメーション制作を手掛けたufotableにより、し烈な場面の一つ一つが圧倒的な美しさと迫力に満ちた映像で再構築された。人間ドラマを丁寧に描き、単なる映像化にとどまらないクオリティーに仕上げたことで、幅広い世代の心を掴み、興行収入は300億円を突破。閉塞感のあった映画界、そしてエンターテインメント業界に風穴を開けた功績は偉大だ。作品情報はコチラ>>

第7位『ミッドナイトスワン』

ミッドナイトスワン
(C) 2020 Midnight Swan Film Partners

 トランスジェンダーの凪沙(草なぎ剛)と育児放棄をされた一果(服部樹咲)が心を通わせていく姿を残酷にかつ美しく描いた。凪沙に母性が芽生えていく過程で草なぎの繊細な演技が光る。内田英治監督によるオリジナリティーにあふれた作家性の強い作品だが、口コミで評判が広まり、ヒットを記録した。立役者となったのは「俳優・草なぎ剛」。役が憑依したかのように心の機微や繊細な感情を表現して観客を映画の世界へと引き込んだ。草なぎ剛というスターが主演を務めることで、トランスジェンダーが抱える問題を社会に提起した功績は大きい。作品情報はコチラ>>

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第8位『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』

 『レディ・バード』のグレタ・ガーウィグ監督とシアーシャ・ローナンのコンビで、不朽の小説「若草物語」を映画化。フローレンス・ピューローラ・ダーンティモシー・シャラメメリル・ストリープと豪華キャストが集結した。南北戦争下に慎ましく暮らす一家の4人姉妹の絆と成長がみずみずしく丁寧に描かれている。監督自身が投影されているような次女ジョーの生き方には、自分らしくいることの大切さ、幸せの定義は多様であるという現代にも響く前向きなメッセージが込められている。作品情報はコチラ>>

第9位『フォードvsフェラーリ』

 1966年のル・マン24時間耐久レースを舞台に、絶対王者フェラーリの打倒を掲げたフォード・モーター社の実話を描く伝記ドラマ。マット・デイモンクリスチャン・ベイルという二大スターが、時に拳でぶつかり合いながらも、ル・マン制覇に全力を注ぐカーデザイナーとドライバーを熱演。ストイックな役づくりで知られるクリスチャンは、本作でも30キロ近く減量するという徹底ぶりだったがオスカーの候補から外され、誰もが首をかしげた。熱き男たちの人間ドラマを、迫力のレースシーンと共に描き切ったジェームズ・マンゴールド監督の手腕も見事である。作品情報はコチラ>>

第10位『スパイの妻<劇場版>』

 『CURE キュア』『回路』などのホラー&スリラー映画の鬼才・黒沢清監督が、ベネチア国際映画祭銀獅子賞(監督賞)受賞の快挙を成し遂げたサスペンス。太平洋戦争前夜という激動の時代に翻弄される夫婦に蒼井優高橋一生がふんし、ワンシーンワンカットをはじめ黒沢監督ならではのスリリングな演出によって時に恐ろしく、時に美しく映し出された。これまでにも多くの夫婦を描いてきた黒沢監督が、教え子だった濱口竜介野原位(映画『ハッピーアワー』など)と共にオリジナル脚本を手掛け、初の歴史モノに挑戦。国際的な評価につながった。作品情報はコチラ>>

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第11位『罪の声』

 元新聞記者の塩田武士が、1980年代に日本を震撼させた未解決事件で脅迫テープに声が使われた子供たちに焦点を合わせた小説を基にしたミステリー。ドラマ「逃げるは恥だが役に立つ」「アンナチュラル」「MIU404」などの人気脚本家・野木亜紀子が500ページ超の長編をテンポよく展開させ、約2時間20分にまとめ上げた土井裕泰監督の手腕はさすが。小栗旬というスター俳優を主役に据えながら、本当の主役は知らぬ間に犯罪に加担させられ人生を狂わされた「声の主=弱者」であるという作り手のぶれないスタンスによって涙を誘う人間ドラマに仕上がっている。作品情報はコチラ>>

第12位『劇場』

 「ピース」の又吉直樹による恋愛小説を行定勲監督が映画化。劇作家としての成功を夢見る永田(山崎賢人)と、彼を支える恋人・沙希(松岡茉優)の日々を描く。原作のテーマを綺麗にすくい上げながら、ラストにかけて加えられた演出が映画としての趣を際立たせており、不器用で危うい男を実直に演じる山崎と役が憑依したかのような松岡の天才的な名演もすさまじい。コロナ禍に見舞われ公開規模の縮小を余儀なくされたが、劇場公開と同時に全世界配信するという異例の形をとり、結果として映画の新しい可能性を提示することになった。(山崎賢人の「崎」は「たつさき」が正式表記)作品情報はコチラ>>

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第13位『シカゴ7裁判』

シカゴ7裁判
Netflixで独占配信中

 『ソーシャル・ネットワーク』でアカデミー賞脚色賞を受賞したアーロン・ソーキンが、実話に基づき監督・脚本を務めた法廷劇。ベトナム戦争に反対する活動家たちが抗議デモの暴動をあおったとして起訴された、理不尽な裁判の行方を描く。エディ・レッドメインサシャ・バロン・コーエンジョセフ・ゴードン=レヴィットマーク・ライランスら実力派の会話劇のような掛け合いがドラマチックで、昨今も抗議運動が行われている黒人への差別問題にも踏み込む。反戦や人権といった社会派のテーマながら、胸が熱くなる人間ドラマ。作品情報はコチラ>>

第14位『朝が来る』

 世界的な映画監督・河瀬直美が、直木賞作家・辻村深月の同名小説を映画化したヒューマンドラマ。望んでも子を授かれなかった夫婦と、愛する人との子を手放すしかなかった少女、それぞれの葛藤と交わりから命の尊さを描いている。妊活や不妊治療という言葉を当たり前のように耳にする現代において、特別養子縁組について知るきっかけにもなる意義のある作品。俳優に役と同じ経験を積ませる河瀬監督ならではの演出方法“役積み”によって生まれるリアリティーが、役者の演技に説得力を与え、全編にわたって魂を注ぎ込んでいるかのようにパワーを感じる。作品情報はコチラ>>

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第15位『ワンダーウーマン 1984』

 1984年を舞台に、最強戦士ワンダーウーマン/ダイアナの戦いを描いたDC映画の続編。前作からスケールアップしたアクションと、サスペンスフルなストーリーのバランスが絶妙で、2時間30分という上映時間を忘れるほど世界観に没頭できる。“真実”がテーマの本作には、愛や生きる希望など、混沌とした現代に生きる人々へのメッセージが込められており、2020年を締めくくるのに相応しい一本でもある。続編映画としてはもちろん、王道スーパーヒーロー映画としても楽しめる娯楽作品だ。作品情報はコチラ>>

第16位『アルプススタンドのはしの方』

 高校野球を“観ている側”の高校生たちの思いを映し出す青春ドラマ。小野莉奈平井亜門西本まりん中村守里らフレッシュな面々が演じたキャラクターたちは等身大かつ個性的で愛おしく、どんどん感情移入させられる。潤沢な予算のもとに製作された映画ではないが、それを逆手に取った撮影方法で飽きさせない映画をつくりあげた城定秀夫監督はお見事。「主役になれる人生ではない」と思っている人へ向けられたメッセージは冷笑主義に陥りがちな現代だからこそ心に響き、映画から受け取った前向きな気持ちが心の中に残り続ける。作品情報はコチラ>>

第17位『ミッドサマー』

 スウェーデンの奥地を舞台に、90年に1度行われる祝祭に訪れた大学生の男女が遭遇する悪夢を映し出すスリラー。美しい花々が咲き、一日中太陽が沈まない白夜のなかで起こる狂気に満ちた出来事の連続は、呼吸を忘れてしまうほど緊張感が漂う。フローレンス・ピュー演じるダニーの絶叫顔は一度見たら忘れられないインパクトで、目をそむけたくなるトラウマ描写の中にも美しさがある。恐怖の中に映画的芸術を成立させるのは、『へレディタリー/継承』で脚光を浴びたアリ・アスター監督にしかできない芸当だ。作品情報はコチラ>>

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第18位『ソウルフル・ワールド』

ソウルフル・ワールド
ディズニープラスで独占配信中 - (C)2020 Disney/Pixar.

 生まれる前にどんな自分になるかを決める「魂」(ソウル)の世界が舞台。ニューヨークからこの世界に迷い込んだ、ジャズミュージシャンを夢見る音楽教師ジョーと、現世でやりたいことがないソウルの女の子・22番による、人生で大切なものをめぐる物語がつづられる。ピクサーならではの独創的なファンタジー表現や、生活感あふれるニューヨークの描写、そして、生き生きとしたキャラクター表現が融合したアニメーションはまさに最高峰だ。何気ない日々の素晴らしさをストレートに伝える物語は、今だからこそ必要なメッセージ。作品情報はコチラ>>

第19位『海辺の映画館-キネマの玉手箱』

 大林宣彦監督が20年ぶりに尾道で撮影した、日本の戦争と映画史をめぐるドラマ。広島・尾道の映画館が閉館する日に開催されたオールナイト興行「日本の戦争映画大特集」に訪れた3人の若者が、スクリーンの世界へタイムリープ。戦争の悲劇を目の当たりにする姿を描く。とめどないイメージの奔流によって、大林監督のあふれる映画愛と平和への思いを観客に訴えかける唯一無二の戦争映画。映画人としての功績を称えると共に、遺作にして最も自由でエネルギーにあふれた、映像の魔術師・大林宣彦の集大成として、ベスト作品に選ばれた。作品情報はコチラ>>

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第20位『はちどり』

 1994年のソウルに暮らす14歳の少女のありふれた日常を繊細かつ優しい眼差しで描き出す人間ドラマ。物語自体は思春期の少女の小さな世界が中心だが、現在にも根強く残る韓国の社会問題にまで通じ、これが長編デビュー作となる若手監督キム・ボラの見事な手腕に驚かされる。韓国の青龍映画賞で、あの『パラサイト 半地下の家族』を抑えて最優秀脚本賞を獲得したのも納得の出来だ。2020年は第4次韓流ブームが巻き起こった年だったが、そんななか韓国のインディペンデント映画を代表する一本として存在感を放った。作品情報はコチラ>>

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